研究実績の概要 |
最終年度では、二酸化炭素高溶存水に用いたウルトラファインバブル(UFB)の存在状態、二酸化炭素高溶存水と接触した焼却灰の表面観察などを重点的に検討した。並行して、前年度継続で、埋立焼却灰の間隙状況を模擬したガラスビーズ層での溶存無機炭素ICの変化、UFBの変化、二酸化炭素高溶存水を実際の焼却灰層へ通水した中和試験を実施した。 二酸化炭素は水への溶解度が大きいことからUFBが多く存在することが難しい(すぐに溶解してしまう)と予想されたが、最近までUFBの実計測が難しいとされていた。今期Nanosight NS300を用いた計測を実施した。実験で使用したUFBノズルでは、空気条件で2.3×10^7個/mL、CO2条件で1.7×10^7個/mL程度となり、CO2の溶解性の影響がでること、ガラスビーズ層通過後も大きく変化がないことなどが確認できた。 焼却灰粒子表面の変化についてSEM観察を行った。目視では、通水前と通水後では変化がみられたが、二酸化炭素高溶存水および純水の差は認められなかった。またSEM-EDXを用いた分析にて、CO2を含む場合は表面にCa, C, Oの存在は認められた。なお、存在比率としてCaCO3とならない部分があり、その他の化合物も混合した状態と推測された。また一例のみであるが、焼却灰粒子断面のSEM観察を実施した。 焼却灰間隙を模擬したガラスビーズ層における二酸化炭素高溶存水の通水で、通水量により、通過後の溶存無機炭素IC濃度に差がみられた。散水量が多い条件では1m程度までIC濃度はゆっくりと低下することから、層内にCO2供給をすることが可能となった。また、前述のUFB数も一定程度保持できた。 全研究期間を通して、UFBを含む二酸化炭素高溶存水を生成し焼却灰埋立層にCO2を供給できる可能性を示した。なお、UFB存在量が少ないことは、今後の課題となった。
|