研究課題/領域番号 |
20K12234
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
和嶋 隆昌 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (00380808)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 硫黄担持炭 / バイオマス廃棄物 / リサイクル / 貴金属回収 / 還元析出 / 吸着 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、炭化物表面に硫黄を担持させた硫黄担持炭の貴金属回収材としての利用を指向し、硫黄担持炭表面における強酸性溶液中での貴金属析出現象を明らかにすることである。本年度は、「硫黄担持炭の貴金属吸着・還元能」に関する研究を行った。 竹紛をそのまま、もしくはNaOH溶液、Na2S溶液、K2S溶液、に浸漬し乾燥した後に電気管状炉を用いて窒素雰囲気下で400-800℃で1時間熱分解処理を行い、室温まで冷却し水洗・乾燥することで炭化物吸着材を作成した。Na2S溶液とK2S溶液に浸漬して得た炭化物には硫黄が5%以上と高く含有されており、NaOH溶液とNa2S溶液に浸漬した竹紛を800℃で処理した炭化物が高い比表面積を示した。これらの炭化物の強酸性溶液下におけるAuとPdの吸着能を調べた結果、Auはすべての炭化物において高い吸着能を示し、吸着したAuはAu metalとして析出していることが確認された。一方、Pdは比表面積の高いNaOH溶液、Na2S溶液に浸漬し800℃で加熱処理した炭化物で高い吸着能を示し、NaOH溶液で得られた炭化物ではPdはPd metalとして還元析出し、Na2Sで得られた炭化物は析出物は確認されなかった。Pdに関しては析出が起こらないNa2S溶液で処理して得られた硫黄担持炭の方がNaOH溶液で処理して得られた炭化物よりも高い吸着量を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析装置の不具合などで反応機構の解析に時間を要しているが、概ね順調に進んでいる。特に、硫黄担持炭のAuとPdにおける吸着還元反応の違いはこれまでに知見のない結果であり、次年度以降で詳細を調べていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
硫黄担持炭が強酸性下で貴金属を吸着すること、AuとPdで吸着還元機構が異なることがわかった。今後は、AuとPdの吸着還元機構の詳細な検討を進めるとともに、高い貴金属吸着能・還元能を持つ硫黄担持炭を調製する硫黄の担持方法、AuやPd以外の貴金属への吸着還元能も考察する予定である。
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