研究課題/領域番号 |
20K12237
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
加賀谷 重浩 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (50272894)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 固相抽出法 / キレート樹脂 / ポリアミン / 表面開始原子移動ラジカル重合 / 元素捕捉迅速性 |
研究実績の概要 |
グリシジルメタクリレート(GMA)とエチレングリコールジメタクリレートとを用い,懸濁重合法により親水性の多孔性メタクリレート樹脂を調製した。この樹脂に分子量の異なるポリエチレンイミンまたはポリアリルアミンを導入し,それぞれの導入量を元素分析により決定した。また,導入した各アミンのアミノ基の一部をカルボキシメチル化したポリアミノカルボン酸型キレート樹脂を調製した。得られた樹脂を固相抽出カートリッジに充填し,21元素に対する捕捉選択性・迅速性を評価した。また,あらかじめ3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)とを重合し,これをシリカゲルに導入した。得られたシリカゲルのCu(II)捕捉容量を求めるとともに,Cu(II)捕捉迅速性について評価した。 調製した多孔性メタクリレート樹脂のエポキシ基は,1.5 mol/L硫酸を用いることにより調製時のGMA仕込み量から見積もったエポキシ基量の80 %を開環できることを明らかにした。開環後の樹脂に重合開始剤である2-ブロモイソブチリルブロミド(BiBB)を導入した。拡散反射フーリエ変換赤外分光分析により見積もったBiBB導入量は,BiBB仕込み濃度の増大とともに増大し,GMA仕込み量から推測したエポキシ基量に対し少なくとも3当量以上加えるとほぼ一定となることが明らかになった。なお,燃焼法イオンクロマトグラフィーによるBr定量の結果からは,高濃度BiBB溶液を用いた場合,樹脂上にBiBBが物理的に吸着していることが示唆された。 BiBB導入樹脂とモノマーとしてDMAEMAとを用い,表面開始原子移動ラジカル重合法により樹脂上にポリアミンを導入した。元素分析の結果と均一系での検討の結果とから,重合時間とともに高分子量のポリアミンがリビング的に生成していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染状況の悪化に伴う入構制限期間があり,研究が当初予定通り進まなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
Grafting-to法にて調製した各樹脂について,元素捕捉迅速性とポリアミンの種類やその分子量,固定化量との関係を明らかにする。 また,Grafting-from法については,ポリアミン重合条件を詳細に検討する。 分子量の異なるポリアミンを導入した樹脂,ポリアミン密度を変化させた樹脂を調製し,元素捕捉迅速性を評価する。さらに,Grafting-from法により,ポリアミノカルボン酸を導入した樹脂の調製を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染状況の悪化に伴う入構制限期間があり,研究が当初予定通り進まなかったため,残額が生じた。実施できなかった内容を今年度に実施する予定としており,その物品費として使用する計画である。
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