研究実績の概要 |
①システムの構築 導入した低温での制御可能なグローブボックスを用いて、システムを構築した。-21℃で完全凍結した対象元素を含むNaCl水溶液を5℃に制御したグローブボックス内で徐々に融解することで、融解初期の10 vol%に40-50%の対象元素を濃縮することができた。対象元素としてB,As,Alの確認を行った。KCl水溶液でも同様に濃縮でき、効率はNaClより良いと思われた。さらに詳細な検討を進めている。 ②成果の発表 成果の一部は第80回分析化学討論会で招待講演(機能水の分析)を行い、さらに機能水の分析、分析化学,69,No.12,673-677(2020)で報告した。システムの構築については、第101回日本化学会春季年会(Harmful Reagents-Free Separation/Concentration of Boron and Arsenic in environmental water) 及び第30回日本MRS年次大会(有害試薬フリーな分離濃縮システム-塩と水の共融混合物の使用-)で報告した。聴講者から興味深いとの意見、応用の際の問題点などの指摘を受け、実サンプルへの応用へ進めることが出来た。 ③応用 近隣の河川水を用いて、B及びAsの濃縮が行えることを確認した。箱根湯本付近を流れる温泉及び地層の影響を受ける早川はB及びAsを含有する河川である。サンプリングした河川水を用いて予備的な調査を行ったところ、AS,B共に濃縮出来ることがわかった。本システムを利用し、さらに条件検討を進めている。
|