• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

水の機能に着目した環境にやさしい分離濃縮法

研究課題

研究課題/領域番号 20K12242
研究機関神奈川大学

研究代表者

西本 右子  神奈川大学, 理学部, 教授 (70241114)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード環境水 / 凍結融解 / 共融混合物 / 分離濃縮 / 稀少元素
研究実績の概要

河川水・海水や下水等の環境水中の微量成分を塩と水の共融混合物を利用して、凍結融解により分離・濃縮するシステムの構築が目的である。
ハロゲン化アルカリ水溶液は低温で塩と水の共晶を形成する。氷が形成された後、塩と水の共晶のみが融解した温度域に保持することで、共融混合物中に水中の微量成分を濃縮することができる。共融点以上で氷の融点以下の温度域では、共融混合物のみが液相として存在するため、低温域での新しい分離法が構築できる。さらに共晶に取り込まれた微量成分は氷より早く融解するため、成分は濃縮して取り出せる。
河川水や温泉水中に存在する稀少元素としてホウ素(ホウ酸)及びリン(リン酸)をまた有機成分として中性アミノ酸及びATPをとりあげ、モデル系で最適塩濃度を求めた。試料溶液を252 Kで6時間以上保持し、完全に凍結させた後、凍結試料を278 Kのサーモグローブボックス内で融解させ、分取するシステムを構築した。凍結温度は252 K,6時間以上、融解温度は278 Kが最適であった。共存塩ではハロゲン化アルカリ、硝酸塩共に0.1 M以下では融解初期に効率よく濃縮されること、最適塩濃度はNaCl 5 mMであることがわかった。さらに凍結前の試料溶液の溶存酸素量の影響を検討したところ、影響は小さいが溶存酸素量が低い系の方が濃縮効率が良いことが分かった。そのため凍結融解過程への磁場の印可は実施しなかった。
河川水・温泉水においても適用可能であり、特に共存塩濃度を5 mMとすることで効率よく濃縮できた。以上より、塩以外に有害な試薬を用いない低温の分離濃縮システムが構築できた。本システムは有機、無機成分に適用でき、河川水・温泉水にも適用可能である。当初予定した磁場の効果でさらに効率化を図ることは有効ではなかったが、セルロース系ポリマーなどの親水性ポリマーへの適用により、広がりが期待できる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 凍結融解過程に注目した環境水中の微量成分濃縮法2022

    • 著者名/発表者名
      荻野湧矢、荒井健、西本右子
    • 学会等名
      日本化学会第102春季年会
  • [学会発表] 凍結融解過程を利用した環境水中の微量成分濃縮法2022

    • 著者名/発表者名
      荻野湧矢、西本右子
    • 学会等名
      第5回熱分析討論会
  • [学会発表] 凍結融解過程を利用した環境水中の微量成分濃縮2022

    • 著者名/発表者名
      荻野湧矢、西本右子
    • 学会等名
      第82回分析化学討論会
  • [学会発表] Harmful Reagent-free Separation/ Concentration system - Use of eutectic mixture of salt and water -2022

    • 著者名/発表者名
      Yuya Ogino, Yuko Nishimoto
    • 学会等名
      第32回日本MRS 年次大会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi