研究課題/領域番号 |
20K12246
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
村山 憲弘 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (90340653)
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研究分担者 |
林 順一 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (60247898)
松岡 光昭 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (00778160)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アルミドロス / 無害化 / 減容化 / 再資源化 / 廃棄物処理 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、アルミニウムの加工工程や再生工程で生じる金属アルミ含有量の少ない低品位アルミニウムドロス(以下、アルミドロスと略記)に対して、それらの無害化・減容化を目的とする硫酸浸出工程、ならびに硫酸浸出液を原料に用いる環境浄化用エトリンガイトの合成工程の最適な処理条件を探求した。得られた結果をもとに、浸出工程と合成工程からなる一連の湿式処理プロセスの構築を試みた。 研究期間の2年目にあたる令和3年度は、前年度の検討事項を継続した内容である。入手した7種類のアルミドロスのうち、令和2年度では金属アルミ含有量が大きく異なる2種類のアルミドロスに着目した。令和3年度は、残りの5種類のアルミドロスについて詳細な検討を行った。 アルミドロスの硫酸浸出条件の最適化を試みた。前年度と同様、アルミドロスの浸出率を向上させる鍵因子として、硫酸濃度と浸出温度の影響が大きいことが明らかになった。アルミドロスの化学組成や結晶性物質の存在形態にもよるが、アルミドロスの浸出率は40~60%の値を示した。このような硫酸浸出によって、アンモニアの発生源になる窒化アルミの多くを加水分解できることがわかった。一方、アルミドロスの化学組成とアルミドロスの浸出率との間に明確な相関関係は見られなかった。一長一短はあるが、硫酸以外の酸、あるいはアルカリを用いて、アルミドロスの浸出率をより向上できる結果が示された。 アルミドロスの硫酸浸出液(硫酸酸性の硫酸アルミニウム)を用いて、有害陰イオンの除去剤として利用できるエトリンガイトの合成を行った。一連の実験結果から、結晶性の高いエトリンガイトを主成分とする生成物が得られた。 総括すると、入手した7種類のアルミドロスに対して、硫酸浸出による無害化および減容化が行える可能性、その処理液を出発原料に用いてエトリンガイトとして再資源化できる可能性がそれぞれ示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度も、新型コロナの影響を少なからず受けたものと分析している。幸いながら、当初より計画していた全てのアルミドロスサンプルの湿式処理に関する貴重な実験データを得ることができた。次年度も、予定通りの実験データと解析が行えるものと考えている。最終年度に当たる次年度には、得られた研究成果の発表も活発に行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに十分な実験データを取ることができたと自負している。令和3年度において、硫酸以外の浸出剤が適用できる可能性を見出したことは、新たな研究展開につながる有用な成果であった。 基本的には計画書に記載のとおりに研究を進める方針である。最終年度にあたる令和4年度は、これまでに得られた実験データをもとに、一連の湿式処理プロセスを構築する。学会発表や論文作成にも注力したい。当初の研究計画を変更したり、研究遂行上の課題は見当たらない。
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