研究課題/領域番号 |
20K12260
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研究機関 | 東京情報大学 |
研究代表者 |
富田 瑞樹 東京情報大学, 総合情報学部, 教授 (00397093)
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研究分担者 |
原 慶太郎 東京情報大学, 総合情報学部, 教授 (20208648)
平吹 喜彦 東北学院大学, 教養学部, 教授 (50143045)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大規模攪乱 / 植生再生 / 植生指数 / 生態系機能 |
研究実績の概要 |
東北地方太平洋沖地震とそれに伴う津波による低頻度大規模攪乱によって広範囲に渡って破壊された仙台平野沿岸部の大部分においては,防潮堤や海岸防災林の復旧事業によって新たな防潮堤や盛土上に植栽されたクロマツ稚苗による海岸防災林が建設・造成された.一方で,その一部では防潮堤がセットバックされた領域や,盛土や倒木の除去がなされずに津波による攪乱後の状態が残された生物多様性配慮区がある.津波による攪乱後の植生再生状況を長期的に明らかにした例は少ないことに加え,こうした自然攪乱と,復旧工事等による人為攪乱が植生再生に与える影響を明らかにした例はないことから,本研究は,これらの異なる領域ごとに,植生の再生状況と,生態系機能の指標としての植生指数を明らかにすることを目的としている. 研究初年度は,新型コロナウイルスの影響下ではあったものの,緊急事態宣言が解除されていた夏季に植生調査とマルチスペクトルカメラを搭載したUAVによる空撮を実施した.植生調査の結果,自然攪乱の状態のまま保存された領域における植生においては概ね立地環境に応じた多様な植物種の出現が確認された一方,復旧工事に伴う盛土や作業道設置等の影響が見られた領域においては似通った植生が再生する傾向が確認された.一方,復旧工事の影響が見られた領域であっても,津波後に取り置いた表砂を盛土上に戻した場所においては,埋土種子由来の海浜植物の再生が確認され,多様な立地を含む自然状態の領域を保存することや,埋土種子を含む覆土を用いた植生再生手法を利用することが重要であることが示唆された. また,UAVによって得られた画像をオルソモザイク処理し,調査範囲における植生指数を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスによる影響下ではあったが,緊急事態宣言が解除された時期に万全の感染対策を取りつつ調査を実施できたことから,初年度に予定していた調査を概ね実施することができた.
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今後の研究の推進方策 |
まず,2年目も新型コロナウイルスの影響下での研究となると予想されるものの,感染拡大状況を見極めつつ,調査時期を調整することにより,予定どおりの調査を実現できるよう努力したい.また,植生の再生状況については初年度にある程度の調査結果を得ることができたが,今回の調査範囲には塩性湿地等の立地が含まれていない.こうした立地における植生再生状況についても明らかにする必要がある場合,調査対象地として追加する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響によって予定していた一部調査を実施できなかった一方,緊急事態宣言解除時に実施することができた調査によって得られた画像が膨大であることから,次年度以降の旅費や画像データ処理・解析・管理に関する謝金・消耗品・設備に使用する必要が生じたため.
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