研究課題/領域番号 |
20K12260
|
研究機関 | 東京情報大学 |
研究代表者 |
富田 瑞樹 東京情報大学, 総合情報学部, 教授 (00397093)
|
研究分担者 |
原 慶太郎 東京情報大学, 総合情報学部, 教授 (20208648) [辞退]
平吹 喜彦 東北学院大学, 教養学部, 教授 (50143045)
平山 英毅 東京情報大学, その他, 研究員 (10889835)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 大規模攪乱 / 植生再生 / 植生指数 / 生態系機能 |
研究実績の概要 |
2011年の津波によって大規模に撹乱された仙台市沿岸部の海岸林には、①生物多様性や生態系保全のために撹乱後の状態が残された領域、②倒木の除去のみが復旧工事として実施され、植物の生育基盤が残された領域、③海岸防災林復旧の際に、山砂によって盛土された領域がある。海岸防災林の海側には、T.P. 7.2mの防潮堤が復旧され、砂浜と海岸林域との環境条件に影響している。本研究では、撹乱後の復旧事業における生物多様性や生態系への配慮の差異が、植生の再生とそれ伴う生態系機能の回復に与える影響を明らかにすることとした。具体的には、①生態系による一次生産機能には植物の葉量が重要であることから、LAIや葉のクロロフィル量と相関関係のあるNDVIの撹乱後の変化を領域ごとに明らかにすること、②生態系の多機能性の維持・向上には高い種多様性が必要であることから、攪乱から10生育期目の植生再生状況を領域ごとに明らかにすること、③大規模攪乱からの素早い、かつ、多機能な海岸林の再生は生物多様性保全の観点から重要であることから、生育基盤が残された領域における自然更新クロマツと盛土上の植栽クロマツの、樹高成長、NDVIを比較することを目的とした。 2012年と2020年の空中写真からNDVIを求め、両者の差を領域間で比較すると、生物多様性への配慮程度が高い領域ほどNDVIが大きく増加していた。攪乱後10生育期目の植生は、生物多様性への配慮のない盛土上において一年草や外来種の出現頻度が高く、かつ、汀線からの距離が大きく異なっても種組成が類似していた。また、同じ樹高の自然更新クロマツと植栽クロマツを比較すると、後者におけるNDVIが低く、かつ、NDVIが低いほど樹高成長速度が低くなる傾向が見られた。以上から、生物多様性や生態系への配慮がなされた領域において、より高い生態系機能や、多機能性が発現すると考えられた。
|