研究課題/領域番号 |
20K12277
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
飯野 成憲 国立研究開発法人国立環境研究所, 福島支部, 研究員 (90792531)
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研究分担者 |
遠藤 和人 国立研究開発法人国立環境研究所, 福島地域協働研究拠点, 室長 (10353533)
荒井 康裕 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (50326013)
辰市 祐久 公益財団法人東京都環境公社(東京都環境科学研究所), 環境資源研究科, 研究員(移行) (90869744)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ごみ組成 / 焼却 / 焼却残渣 / 安定運用 / 有効利用 |
研究実績の概要 |
2020年度は以下の研究を実施した。 【過去のごみ性状分析】2016年度のごみ組成別の年間代表ごみ試料の熱灼減量分析を実施し、特に廃プラスチックについては98%を超える一方、その他可燃物では68%であった。当初の計画以外の分析として、過年度3年度の家庭ごみ試料の元素含有量分析を実施した。塩素はプラスチック及びゴム皮革類で高く、塩ビ製品の混入等が原因と推測された。カルシウムは厨芥の含有量が高く、紙類では後の年度ほど高くなる傾向が確認された。鉛はゴム・皮革類にて高かったが、後の年度ほど高くなる傾向が確認された。 【ごみ組成を変化させた燃焼挙動】2016年度のごみ試料のごみ組成のうち、特に重量組成が大きく、施策等の影響を受けると考えられる紙類、プラスチック類、厨芥類の組成割合を5パターンに変化させた混合ごみ試料を調製した。また、当初小型ロータリーキルンによる燃焼実験の調整を予定していたが、実稼動中のストーカ式焼却炉を想定し、管状電気炉における燃焼実験条件の調整を実施した。 【ごみ組成と運転実績、焼却残渣の関連分析】都市ごみ焼却施設19施設におけるごみ処理量に対する焼却残渣の発生量を解析したところ、流動床式あるいは稼働年数の短い焼却施設では、ストーカ式焼却施設あるいは稼働年数の長い施設と比較して処理量あたりの焼却残渣の発生量が多いことがわかった。また、季節変動については、4月~5月および12月から1月には処理量あたりの焼却残渣の発生量が多いことを明らかにした。ストーカ式焼却施設では、紙類や厨芥類が多いほど焼却主灰の塩基度は高くなる一方、流動床式又はガス化溶融式焼却施設では明確な関係は確認されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している 科研費取得以前より、単一年度のごみ試料分析や運転実績データの取得を完了していたため、スムーズに令和2年度の課題に着手することが出来た。また、これまでの元素分析実務経験を活かし、研究計画を超えた化学分析を実施することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、当初の計画通り、1988年度及び2001年度の中分類ごみ試料の発熱量、熱灼減量の分析を行うともに、組成を変化させて調整した混合ごみ試料を管状電気炉により燃焼し、ごみ試料の元素分析、焼却残渣の主要元素含有量測定を実施する予定である。 また、20施設5年分の運転実績データと焼却残渣の元素含有量との関係を解明し、予測モデルの構築を行うとともに、焼却方式や焼却残渣の化学分析データより、クラスター分析による類型化を行う。 さらに、ごみ組成、運転実績データを活用し、組成割合を変化させた場合の薬品使用量、煙道排ガス組成、エネルギー回収量、焼却残渣発生量、元素含有量を予測するとともに、焼却残渣の成分のうちセメント原料化の際に忌避元素となるCl、溶融処理での操業管理に影響する塩基度(CaO / SiO2)に着目し、セメント原料化や溶融処理における受入条件等を制約条件とした数理計画法による焼却残渣の有効利用モデルを構築する。 統計解析については最適化分析の他、ロジスティック回帰分析等の統計手法を援用した幅広いアプローチを適用し、ごみ組成に応じた焼却残渣の成分予測を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、新型コロナの流行により旅費支出が減少したことが挙げられる。翌年度については、今後の流行状況を踏まえつつ旅費や試験器具等に活用する予定である。
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