研究課題/領域番号 |
20K12280
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
古澤 慎一 新潟大学, 自然科学系, 助教 (40588315)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 食品産業 / 認知革新 / 残余利益モデル / テキストマイニング / 社会的企業 / フードシステム / 経営戦略 / TEM(複線経路・等至性モデル) |
研究実績の概要 |
本研究は、農業・食料システムにおける社会的企業のイノベーションの創出メカニズムとその影響を明らかにすることである。今年度、進めた研究内容は主に以下の2点である。 第1に、食品産業における認知革新とフードシステムの持続的発展に関しては、残余利益モデルとテキストマイニング分析を用いて、食料品製造業における組織学習による認知革新が経営成果に与える影響の分析を進めた。その結果、2010年代以降に、需要創造や健康・機能性、安全・安心を重視した研究と開発への転換、自社のコアコンピタンスを見極めて、事業の垂直的多角化や海外市場の開拓方策(広域的展開または集中)を選択する戦略を採用して認知革新を実現することで、経営パフォーマンスを高めていることが示唆された。コーポレートガバナンスとして、地域貢献、環境保全活動、ダイバーシティへの取り組みによって組織学習による認知革新の促進を図っていることが示唆された。これらの事例では他社が模倣困難な組織学習能力を高めており、経営戦略はダイナミックケイパビリティ論に沿ったものに変化しつつあることを把握した。 第2に、農業・食料分野における社会的企業(有機農業、オンライン産直、都市・農村交流ビジネスなど)の起業家の先端的事例の分析を進めた。具体的には、質的分析手法として、TEM(複線経路・等至性モデル)を援用し、起業家の経営における意思決定に影響する社会的ガイド(経営発展の促進要因)と社会的方向付け(阻害要因)を把握するとともに、経営戦略とビジネスモデルの特徴を整理した。また、別途、コメ産業における新市場の創出(オルタナティブ市場の需要条件と関連)に関する分析、地域の食に対する評価が観光業のパフォーマンスに与える影響の分析、消費者の食品ロス削減意識・行動の分析を行うとともに、持続可能な消費に対する消費者の認知・行動のアンケート調査のための設計を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果は予想通り生み出されている。なお、新型コロナの感染拡大防止のため、当初計画したとおりの現地調査は実現できなかったが、計画を一部見直すことで順調に進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
①持続可能な消費に対する消費者の認知・行動に関するアンケート調査を実施し、分析する。 ②海外におけるオルタナティブ市場をめぐる制度・制作環境の調査と資料分析を行う。 ③農業・食料分野の社会的企業のイノベーションの誘発行動のモデル化とインパクト評価のシミュレーション分析を行う。 ④研究成果の積極的な発信(日本語・英語)を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、年度前半に予定していた現地調査が新型コロナの感染拡大防止のために実現できなかったためである。また、国際学会発表(前年度の延期開催分を含む)と国内学会発表が全てオンラインでの開催となったためである。 持続可能な消費に関する消費者の認知・行動、農業・食料分野におけるソーシャルビジネスの先端的事例の現地調査及び成果発表・発信のために使用する予定である。
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