研究課題/領域番号 |
20K12283
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤井 秀道 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (20731764)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 毒性化学物質 / 環境イノベーション / サーキュラーエコノミー / クリーナープロダクション / 生産性 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、企業別及び毒性化学物質グループ別に毒性化学物質排出量の削減がどのような方法によって実施されているかを明らかにすることを目的としている。特に、多様な特性を持つ企業及び化学物質に対して、詳細かつ網羅的に排出量削減と経済パフォーマンスの関係性を明らかにするために、日本、米国、欧州を対象とした。分析には要因分解分析法として幅広く利用されているLog Mean Divisia Indexの手法を用いる。加えて、分析対象業種は毒性化学物質排出量が大きい特性を持つ製造業7業種(化学、プラスチック、非鉄金属、鉄鋼業、一般機械、電気機器、輸送用機械)とした。また、毒性化学物質排出量の変化分と経済パフォーマンス指標の関係性について、削減取り組み方法の違いを明示的に考慮したモデルで明らかにするとともに、企業の主観的な視点から、毒性化学物質の排出削減取り組みを行う上での課題や優先度、また対策を実施する際の意思決定メカニズムについて明らかにする。 初年度の本年においては、データベースの構築を進めた。特に米国のToxic Release Inventoryや日本のPRTR制度から取得可能なデータを得るとともに、分析を行いやすい形でデータセットを構築した。加えて、企業の特許データや財務データの収集も同時並行で進めており、毒性化学物質管理と経済・イノベーション活動の関係性を分析するためのデータセットを整備することが出来た。次年度では、これらのデータベースを活用することで、毒性化学物質管理と経済パフォーマンスやイノベーション活動との間に存在する関係性を明らかにすることを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標としていたデータセットの構築を順調に進めることが出来た。しかしながら、国外の研究協力者との打ち合わせや現地調査は、新型コロナウイルス感染症の影響から、予定通り進めることが出来なかった。研究打ち合わせについては、適宜オンラインミーティングを活用しながら、研究のスケジュールに影響を及ぼさない形で進めるよう、取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題で実施を予定していた英国及び米国における現地調査は、新型コロナウイルス感染症の影響により、実施の目途が立っていない状況である。こうした点を踏まえ、インターネットを活用したオンライン調査での代替的な調査について現在検討を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、学会参加や海外における現地調査を行うことが出来ない状況であったため、旅費を始めとした予算執行を行うことが出来なかった。これらの研究活動については、次年度以降に移動が行いやすい状況下で、学会参加や現地調査を行う予定である。
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