研究課題/領域番号 |
20K12286
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
浅野 美代子 大東文化大学, 法学部, 教授 (00307141)
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研究分担者 |
浅野 良晴 信州大学, 工学部, 特任教授 (20140551)
鄭 宏杰 東洋大学, 理工学部, 助教 (20778576)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 深層学習 / 年輪画像識別 / 木材個別識別 / 木材トレーサビリティ / 木材IoT 実装 / RFIDチップタグ |
研究実績の概要 |
木材の流通過程における業者全体の情報共有・連携を実現するためには、業者全体がアクセスできる木材データベースの構築が必要である。年輪画像でその木材を判別するには、調査が必要な地域の木材に対し、必要となる木材情報として、赤外線輪画像を収集してAIを導入し、CNN(Convolutional Neural Network)解析を用いる。今までは、2次元バーコードやRFIDチップタグが用いられている。CNN解析では、CNNモデルの構造を決定する必要があるが、年輪画像のような類似性が強い画像解析研究における既往研究はないので、モデル構造研究を最初に行なった。CNNモデル構造とは、ニューラルネットワーク解析における入力層・中間層・出力層の構造を決定することであり、中間層では、コンボルーション層とプーリング層を繰り返す構造を決定することである。 研究の成果は、2020年9月9日にWEB開催された統計関連学会連合大会2020年度において「年輪画像を用いたCNN解析」で発表、2021年2月発行された「大東文化大学紀要」2020年度において「年輪のCNN分析」201頁-205頁が出版された。得られた結果の概要は、10種類の木材を用意して、CNN構造を決定して検証用データで検証した結果高い精度が得られた。今後は、1つの赤外線年輪画像が、データベースの画像と一致するか否かについて研究する。 本研究は2020年4月から開始されて、赤外線画像カメラ(リコー:PENTAX KP-R 一式)の購入設置を行った。続いて、赤外線カメラによる年輪画像撮影で収集された年輪画像の収集と分析を行った。撮影会は、東京都西多摩郡日の出町にある「多摩木材センター」で、すでに4回行った。今後も継続して赤外線カメラによる年輪画像収集と分析を行う。 ホームページで研究内容を公開するため、ホームページの構築と開発をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
赤外線画像カメラ(リコー:PENTAX KP-R 一式)を購入し、年輪赤外線画像を収集して、クラウド木材データベースの構築を行った。年輪画像は500×500ピクセル画像を入力としてTenserflowを用いて、深層学習(CNN)シミュレーションを行い、最初に、モデル構成を決定した。コンボルーション層とプーリング層からなる中間層の構成を決定した後に、学習データを作成して、シミュレーションを行った。学習データは、明るさ変えて、大きさを変えて拡大縮小を行い、さらに画像回転を行って水増しして作成を行った。これは、木材が縮小すること、日陰での撮影、一部のデータが欠落していることなどに対応するためである。これらの学習データを用いてCNN分析を行い赤外線画像の判別ができることをシミュレーションで確認できた。 収集する赤外線年輪画像データを今後増加してシミュレーションを行う。 国際学会ISBIS(International Statistical Institute:ISI国際統計協会の分科会Business and Industry Statistics )が新型コロナ感染拡大で中止となった、そのため国内学会のみ発表をおこなった。
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今後の研究の推進方策 |
年輪赤外線画像を収集して、クラウド木材データベースに追加する。その後、赤外線年輪画像解析を行って年輪の認識・年輪の識別を行う。年輪が明晰に表示される赤外線年輪画像を用いる。①CNN分析、②線形回帰分析、③「CNNと線形回帰分析のハイブリッド解析」の結果比較を行い、相違点を比較して、CNN分析の解析過程を可視化する。年輪画像が判別できたのかを考察して発表する。 ホームページで研究成果を公開する。 赤外線年輪画像を用いると、2次元バーコードやRFIDタグよりも効率よく木材管理ができることを考察するために、1つの赤外線年輪画像が、木材管理データベースの画像と一致するかについて複数の産地の木材で検証し、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を統計関連学会連合大会2021年にて行う。人工知能学会論文誌に論文を投稿する。 新型コロナ感染拡大で2020年に中止となった、海外学会:International Statistical Institute:ISI国際統計協会の分科会Business and Industry Statistics (ISBIS), ISBIS Conference 2021年度が開催されれば、発表をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染防止の影響で海外学会の開催が中止になったため次年度使用額が生じた。 翌年分として請求した助成金と合わせた使用計画は、海外旅費、国内旅費、ホームページ作成費用、論文投稿費用、報告書作成費用、SDカードである。
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