研究課題/領域番号 |
20K12289
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
荒巻 俊也 東洋大学, 国際学部, 教授 (90282673)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 静脈系インフラ / 利用者 / 提供者 / 開発途上国 / 計画手法 |
研究実績の概要 |
本研究は,動脈系のインフラサービスと比較して利用者のニーズや理解という点で不利な側面がある下水道や廃棄物収集といった静脈系のインフラサービスを対象として,その整備水準が異なる途上国の都市を対象に,既存のサービスの利用状況の調査,利用者への意識調査や支払い意思の調査,サービスの提供者への聞き取り調査や実態調査を通して,利用者への理解や適切な利用に影響を与える要因を分析して効果的な導入方策を検討するとともに,サービスの提供者側の視点にたって持続的なサービス提供のあり方について検討するものである。 今年度はまずカンボジア・プノンペン市において既に実施していた聞き取り調査やアンケート調査の結果を利用して腐敗槽汚泥の管理における定期引き抜き制度の導入の是非について議論を行った。その結果,汚泥の定期引き抜きのシステムはその後の処理施設の設置を含めても経済的に十分に見合うことが分かった。 また,オンラインモニターによる調査が可能であった北京市およびハノイ市において廃棄物の分別収集について,アンケート調査を実施した。北京市の調査結果については,さまざまな心理的要因と個人属性との関係を分析するとともに,目標意図,実施意図に対する2段階の心理モデルを構築して分別に影響を与える要因について検討を行った。ハノイ市の調査結果についても,個人属性と心理的要因の関係を分析し,今後心理モデルによる分析を進めるべく準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では静脈系インフラについて,利用者および提供者の双方の視点から議論していくことを当初の目的としているが,提供者側の調査についてはコロナ禍において本年度は実施ができなかった。よって,区分として「やや遅れている」と判断している。 一方で,利用者側の調査としてオンラインモニターによるアンケート調査を委託により実施し,その結果をさまざまな観点から分析することにより,利用者側の視点からの議論については進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初,2021年度はハノイおよびプノンペンにおいて,コミュニティにおける聞き取り調査や実証試験等を実施する予定であった。しかし,コロナ禍により実証試験の実施についてはめどがたたない状況であるとともに,現地調査の実施も見通せない状況にある。よって,提供者側への聞き取り調査は調査対象地におけるこれまでの人的ネットワークを生かした形で遠隔で規模を縮小して実施するとともに,ハノイ市におけるオンラインモニターによる利用者側へのアンケート調査を追加実施や,プノンペン市における実施可能性について検討を行っていく。
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