研究課題/領域番号 |
20K12292
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
銭 学鵬 上智大学, 地球環境学研究科, 教授 (30512454)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ゴミ分別行動 / 環境配慮行動 / 計画行動理論 / プラスチック資源循環 |
研究実績の概要 |
最初に、投稿論文は国際ジャーナルWaste Management(SCIE, Q1,Impact Factor =7.145)に掲載された。発表以来半年間、Resource Conservation and Recycling, Science of the Total Environment, Journal of Cleaner Production, Sustainability環境分野の主流ジャーナルに4回引用されて、関連研究領域に貢献していると言える。 次に、コロナの影響で、予定していたベトナムの調査が実施難しいという状況において、同じくごみ分別実施前の中国チベットのラサを代替地とした。宗教、文化・民族差異、情報介入の3 つの要素を取り入れた拡張TPBモデルを試みたので、既存のアンケートを、現地パイロットと文献に基づいて、質問を拡張と調整した。本調査で、1183部のアンケートを回収できた。信頼性と妥当性分析を行い、拡張TPBモデルを完成した。態度、主観的規範は、生活ごみを分別する市民の意図にプラス影響を与える可能性があり、知覚された行動制御は、マイナス影響を与える可能性があることが分かった。宗教、民族文化差異は、意図の形成に対する影響が有意であるが、相関性は非常に弱い。この研究を学会発表と論文を目指して準備している。 最後に、日本国内ごみ分別に関して、「プラスチック資源循環法」が22年4月に施行開始との背景で、ごみ分別と収集方式が変わり、政策・行政の変化と市民行動の変容に対する貴重な観察条件が形成された。これを踏まえて、住民のプラスチックごみ分別やリサイクル意図と行動を理解し、分析を行い、いくつかの潜在的な政策提案を行うために、大規模のアンケート調査を行った。同時に、市民と行政関係者に対してインタビュー調査も実施して、現在データ分析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの流行によって、予定していた現地調査がやむを得ず中止となったが、前年度からいろいろ調整して、今年度の研究はおおむね順調に進めた。海外調査のほう、代替案として、現地駐在の研究室学生と一緒に実施した。日本国内において、プラスチック資源循環促進法の施行を背景に、政策・行政の変化と市民行動の変容に対するよい観察の条件を得て、アンケートとインタビューを行った。また、予定通り、国際ジャーナルに論文掲載、国際会議にもオンラインで参加・発表した。
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今後の研究の推進方策 |
近年途中国の廃棄物マネジメントシステム構築が進められているので、ごみ分別をはじめ、廃棄物関連の環境配慮行動の研究論文が増えて、この分野の注目度も上がっている。TPBなどの手法の使用が一般的になり、研究の独創性を高めるために、研究調査の設計、現場情報収集の角度などより一層努力したい。同時に、進行中の研究を早めに学会発表と論文にまとめる。現在、international conference of Resource Sustainability(icRS)とThe 11th Congress of the Asian Association of Environmental and Resource Economics (AAERE)に発表すること、さらに、icRSでごみ分別の特別セッションを企画することを予定している。 コロナが落ち着いている環境で、遅れたハノイ、ホーチミンの現地調査を実施したい。一方、一部の地域がコロナの影響が続く可能性が高いので、継続的にオンラインで現地の専門家および協力団体とコミュニケーションを取り、各地の廃棄物マネジメントと政策の動向について意見交換する。さらに、各対象地域の調査会社に連絡し、アンケート調査の実施を打診する。訪問聞き取り調査を行い、質的な情報も積極的に分析に取り入れるとの研究計画があるため、現地調査に行けない場合、現地協力者と意見共有を徹底し、共同調査計画を着実に進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行によって、予定していた現地調査がやむを得ず中止となり、また学会がオンライン参加になったため、旅費の使用ができなかった。次年度に、現地連携専門家と団体の協力のもと、現地調査会社を利用し、計画のアンケート調査と聞き取り調査を実施する。一部コロナから安定している地域に、現地調査を実施する。また、オンライン作業やデータ分析のため、一部設備更新と増強を予定している。以上の研究計画に、生じた次年度使用額を使用する。
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