研究課題
本研究は、ごみ分別行動と持続可能な行動変容に関する国際比較研究を基に、多様な学問領域から得られる知見を統合し、具体的な行動変容戦略の提案を目指している。コロナの影響で、一年を延長し、2024年度まで予定通り実施した。2019年に国際寮の留学生を対象に行ったごみ分別行動研究では、行動が短期的なルールの学習から長期的な習慣化へと移行する過程を詳細に捉えることができ、行動の長期化メカニズムの理解に貢献した。その後に、日本におけるプラスチックごみ分別の新規ルール導入の影響を異なる地域間で比較することで、行動意図モデルに顕著な地域差が存在することを明らかにした。これにより、社会および政策的要因の影響が行動変容において重要であることが確認された。社会経済的要因を社会心理学のモデルに組み込むことで、行動分析の精度を高める試みが行われ、分析力の向上が観察された。この多分野間融合アプローチは、持続可能な行動変容への深い理解と効果的な介入戦略を開発する上での可能性を示唆している。また、この数年続けてきたゴミ分別行動の国際比較研究では、異なる地域で行われた調査を用いて行動予測モデルの係数に特徴的な変化を確認。この結果は、予測モデルが住民の意識と行動変化の度合いを如実に反映しており、新たな研究アプローチとしての有効性を強調している。研究の展開として、社会科学とデータサイエンスの融合により、社会実態調査やSNSデータを活用し、感情分析と行動の関係性を分析した試みを行い、人々の行動の傾向を捉え、その背後に潜む動機や心理を明らかにすることが可能となった。これらの成果は、住民のごみ分別行動及び持続可能な行動変容に対する具体的かつ実用的な推進手段の開発に寄与し、今後、異なる学問領域との更なる連携を深め、持続可能な社会への移行を促進するための行動変容メカニズムの解明に向けた研究を進める計画である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Journal of Environmental Management
巻: 349 ページ: 119370~119370
10.1016/j.jenvman.2023.119370