研究課題/領域番号 |
20K12293
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
吉田 綾 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環領域, 主任研究員 (10442691)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 片づけ / 溜め込み / アニミズム / 購買行動 / シェアリング |
研究実績の概要 |
2010年代以降、「断捨離」や片づけに関する書籍がベストセラーになるなど、人々とモノとの関わり方に変化がみられるようになった。東日本大震災以降の変化は顕著で、モノを極限まで減らした「ミニマリスト」と呼ばれる人々も出てきている。 居住空間が片づいていると、作業効率が上がる、幸せ感が高くなることについては多くの研究されている。片づけを通じて、モノと向き合い、自分の価値基準を再確認することで、モノを買うことへの意識や行動に変化を感じる人が多いことも報告されているが、これらは自己報告に基づくものであり、定量的に検証されていない。 本研究は、消費を構造的に転換する方策として「片づけ」と「シェアリング」に着目し、モノへの価値観・認知と購買行動の変化が与える影響について明らかにすることで、モノを大切に使い切る、廃棄物を最小限にする社会システムについて考察することを目的としている。 片づけのプロフェッショナルを対象としたインタビュー調査の書き起こしデータから、片づけとモノに対する意識の変化や購買行動の変化についてて分析した。片づけと環境配慮ライフスタイルとの関連性について、データの分析と論文を進めるとともに、脱物質ライフスタイルへの転換というテーマで、片づけとミニマリストに関する専門記事をまとめた。 インタビュー調査の分析から得られた知見を参考に、調査票の作成を進めると同時に、定量調査の実施方法について、一般向けに片づけメソッドを紹介するワークショップ等を受講するなどして再検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初は、片づけのプロフェッショナルに片づけを依頼し、片づけを終えたクライアントを対象に調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の問題もあり、プロフェッショナルやそのクライアントとの交渉が困難な状況となった。 2021年9月に川越市で行われた、初心者を対象とした対面での片づけワークショップに参加したが、参加者は少なく、ワークショップ形式で定量調査として必要な規模の協力者の確保は困難と思われた。 一方、新型コロナの影響で在宅時間が増えたこともあり、家の中の環境改善のために、整理収納への興味関心は依然として高い状況にあり、本・SNS・You Tube・WEBサイトなどの情報をチェックして片づけを実践する人は増えていることから、これらの人をリクルートして調査をする方向で、改めて調査方法を検討した。今後は関東地域を対象に調査会社のモニタをリクルートし、調査実施を予定している。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、前年度までに完遂できなかった「片づけが購買行動に与える影響に関する質問紙調査」の継続を第一の課題とする。 また、「研究実施計画」に基づき、「シェアリングとモノの所有意識をテーマにしたフォーカスグループインタビュー」と「モノに対する価値観と所有についての国際比較調査」について検討を進める。シェアリングエコノミー(フリマアプリ)の利用者を対象にした、フォーカスグループインタビュー(または半構造化面接調査)の調査方法および内容を検討する。フリマアプリのサービスプロバイダーや専門家・有識者、海外在住の片づけプロフェッショナル・ミニマリストからヒアリング調査を行い、利用者の利用状況や属性、ライフスタイル・価値観、文化等との関係について考察する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
調査会社のスケジュールの関係、調査票作成と調査手法の決定に遅れが生じたことから、次年度に調査を実施することとなったため。
|