1、学習曲線モデルを用いて、日中両国の車載用リチウムイオン電池の価格決定メカニズムに関する比較分析を行った。 2、中国の太陽光や風力を中心とする再生可能エネルギー電源開発に関する制度的分析を行った。固定価格買取制度(FIT)を中心とする支援対策が、再生可能エネルギーの普及拡大、産業競争力の向上に大きく寄与したが、電力料金に上乗せする再生可能エネルギー賦課金の高騰等の弊害ももたらした。脱FITに向けて、中国は再生可能エネルギー電力利用目標規制・グリーン証書取引制度を導入し始めた。その効果の検証が必要がある。 3、中国のNEV導入の現状と普及対策を分析した上で、累積生産量以外にリチウム価格をも考慮した車載用リチウムイオン電池(LIB)価格の学習曲線効果及びNEV規制とクレジット取引制度を組み込んだ計量経済モデルを構築し、NEV普及メカニズムの定量的解明を行うと共に、シミュレーション分析を通じて、普及対策に関する提言を試みた。 4、「低・脱炭素パラダイムシフト論」としての中国モデルの検出。脱炭素社会に向けた中国の基本戦略や取組みを中国モデルと呼ぶことが可能である。国際的に見ると、以下の特徴と課題が確認できるからである。①政府と議会が結束し、中国の持続可能な発展にとっての内的要求として、戦略的に脱炭素社会の構築に取り組むこと。②脱炭素システム整備とエネルギー革命を通じて取組むこと。③国際的に有効と実証された対策なら、何でも貪欲に取り入れること。④中国に比較優位性を持たない分野についても、長期戦略の視点で果敢に技術開発や大規模な実証実験などに挑戦すること。⑤中国の実情や固有性に合わせた対策や制度を試行錯誤的に模索し続けていること。
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