研究課題/領域番号 |
20K12298
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中山 琢夫 京都大学, 経済学研究科, 特定講師 (70623883)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 再生可能エネルギー / 企業調達 / 電力購入契約(PPA) / 仮想的(金融的)PPA / 物理的(袖付)PPA |
研究実績の概要 |
本年度の研究では、アメリカを中心に欧米で注目されているコーポレートPPA(Power Purchase Agreement; 電力購入契約)に関する今日の動向調査を中心にサーベイを行った。 再エネは、世界の多くの地域で最も安い発電源となりつつあり、その投資額は従来型エネルギーを上回ろうとしている。一方で、パリ協定や関連の取り組みにより、再エネへの投資拡大が不可欠のものとなっている。とりわけ、世界の電力の最終需要の大部分を占める企業部門もまた、再エネ調達は、気候変動目標達成にとって重要な役割が期待されており、近年では、受動的にエネルギー調達するだけでなく、能動的に再エネを調達する動きが盛んになってきた。最近のその代表的な動きは、企業によるコーポレートPPAである。 本研究では、企業による再エネ調達手法を4つに分類したのち、そのうちの一つであるPPAに注目した。さらにPPAを、仮想的(金融的)PPAと物理的PPAの二つのモデルに分類した後、その取引方法を整理した。近年著しい成長を見せている仮想的(金融的)PPAは、買い手企業が多額の資金を出資することなく、追加的な再エネ発電所への投資が可能であるというベネフィットがある反面、さまざまなリスクに対するチャレンジも必要になる。ここではこうしたリスクも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響により、当初予定していた現地ヒアリング調査を実施することはできなかったが、本年度は、海外文献調査やウェビナー等オンライン環境を整えることで、基本的な情報の収集をくまなく集め、整理するこで、一定の成果を出している。
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今後の研究の推進方策 |
2020年に発表された「2050年カーボンニュートラル宣言」、それに続く「グリーン成長戦略」によって、日本における脱炭素化、再生可能エネルギーをとりまく環境は、産業界を中心に今日劇的に進展している。この動きを逐一フォローし、適宜課題を抽出することで、日本における課題解決にタイムリーに資する研究成果を出していく必要がある。 一方、世界のグリーンリカバリーも世紀の大きな波となっており、この流れを追従していく必要がある。当面、海外渡航は困難な状況が続くと見込まれるが、これまでの研究で蓄積してきた人的ネットワークを活用しながら、さらに遠隔情報ネットワークを駆使して、日本における再生可能エネルギーの市場統合推進策に関する研究を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究用にコンピュータを新規購入するであったが、COVID-19の影響により在宅勤務(テレワーク)が中心となったため、当該年度の新規導入・設置は見送った。研究環境が落ち着くであろう次年度以降に最適な機材を導入する予定である。
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