2022年4月から、日本でも再生可能エネルギー(再エネ)のフィードインプレミアム(FIP)制度がスタートした。この制度の下では、発電事業者は直接卸電力取引所で市場取引するか、小売事業者や需要家に直接相対取引することで、プレミアムを受け取ることができる。これまでの固定価格買取制度(FIT)からFIP制度への移行は、まさに再エネが市場統合段階に進展したことを意味している。 本年度は、とくに日本におけるFIP制度の特徴を明らかにすることに注力した。日本のFIPは2012年にスタートしたドイツの市場プレミアム制度(2014年からはFIP制度)に強く影響を受けている。ドイツの制度と同様に、既にFIT認定を受けている発電事業も、一定規模以上(日本の場合は50kW以上)のものはFIP制度に移行することができる。また、新規事業については、電源種別毎に比較的規模の大きなものから段階的に、FIPのみの認定に移行する。この移行速度は、ドイツのそれらよりも速いスピードで実施されるように見受けられる。 FIP制度では、これまで実質免除されてきたバランシングが発電事業者に求められるようになり、計画値を外した場合にはインバランス料金としてペナルティを支払わなければならない。このことで、発電事業者はFIT時代よりもより専門的なプレーヤーとなる必要があるが、この施策は再エネの市場統合段階において重要な意味を持つ。再エネが主力電源化する過程で、独立的な発電事業者として、電力安定供給に寄与するために不可欠な段階となるだろう。さらに、日本の卸電力取引所の特徴、FIP制度のプレミアム算定方法、環境価値の取り扱い、PPAとの兼用等について、検討を加えた。
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