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2020 年度 実施状況報告書

地盤沈下を考慮した海面上昇への適応費用分析ーベトナムを事例にー

研究課題

研究課題/領域番号 20K12300
研究機関愛媛大学

研究代表者

熊野 直子  愛媛大学, 農学研究科, 助教 (70711638)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードベトナム / 気候変動 / 海面上昇 / 適応費用 / 費用分析 / 堤防 / マングローブ林
研究実績の概要

本年は海面上昇によって必要になる堤防の高さを考慮した適応費用の費用便益を算出した.そこで,詳細に2100年までの海面上昇量を重ねた潮位と1984年の地盤高さを差分算出し,2100年までに必要になる堤防高さを算出した.これらの堤防を新設・維持する費用を算出し,費用分析を行った.その結果,浸水被害額は適応費用に対して0.70(SSP3)~1.43(SSP1)倍になる.更に,ベトナムで実際に用いられているマングローブ林と堤防を併用した多重防護における費用を算出した.この場合,マングローブ林による消波機能によって波が減衰でき,さらにマングローブ林より内陸側に堤防を設置するため,必要になる堤防高さが低く,防護すべき海岸線長が減少する可能性を示した.そして,堤防の設置費用にマングローブ林の植林費用を足したとしても多重防護では浸水被害額は適応費用に対して2.80(SSP3)~5.53(SSP1)倍になり,適応費用が抑えられることが顕著になった.
また,被害額を過去の水害被害データより予測していたが,浸水域ではその土地が永久に失われると想定して,地価や土地利用も考慮して行った.その結果,被害額が大幅に大きくなることが確認された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

海外渡航が制限されているため,データ収集に赴けず地盤分析を次年度に回し,先に海面上昇量や被害額の計算を詳細に行った.

今後の研究の推進方策

海面上昇による被害は,年間数cmの地盤沈下によって亢進化すると言われている.地盤沈下の主な原因とされているのは,揚水である.使用する揚水量はその土地利用するが,同じ土地利用でもその値に幅がある.そこで,地質等の影響を考慮して,傾向を分析する予定である.メコンデルタにおける地盤沈下によって増す海面上昇への脆弱性を確認する.

次年度使用額が生じた理由

今年度も海外渡航が望めないので,人口分布・土地利用・地質などの電子データの購入する.また,これらのデータを用いた計算を行うためのソフト(ArcGIS)のライセンス購入や保管用の外付けHDDの購入に充てる予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)

  • [雑誌論文] 海面上昇に適応するためのグリーンインフラを活用した多重防護の費用分析2020

    • 著者名/発表者名
      熊野直子、田村誠、井上智美、横木裕宗
    • 雑誌名

      土木学会論文集G(環境)

      巻: 76 ページ: I_221~I_231

    • DOI

      10.2208/jscejer.76.5_i_221

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cost-Benefit Analysis of Mixing Gray and Green Infrastructures to Adapt to Sea Level Rise in the Vietnamese Mekong River Delta2020

    • 著者名/発表者名
      Oanh Pham Thi、Tamura Makoto、Kumano Naoko、Nguyen Quang Van
    • 雑誌名

      Sustainability

      巻: 12 ページ: 10356~10356

    • DOI

      10.3390/su122410356

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2021-12-27  

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