研究課題/領域番号 |
20K12308
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
島田 幸司 立命館大学, 経済学部, 教授 (70367986)
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研究分担者 |
前川 淳 大阪経済法科大学, 経済学部, 准教授 (80737479)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 電力プロシューマー / FIP / 経済実験 |
研究実績の概要 |
本研究は,再生可能エネルギー(再エネ)の出力変動に応じた需要サイドの行動変容を誘発するようなフレームや情報提供のあり方を理論的・実証的に検討することを目的としている。 具体的には,固定価格買取(FIT)制度の終了を見据え,卒FITの影響や外部性(系統混雑や環境負荷増大)のフレーミング,ナッジ(気象情報に応じた消費シフトの示唆)といった介入によって,電力を生産しながら消費するプロシューマ―の行動変容がどの程度誘発されるかを経済実験により検証する。 研究の一つ目の柱は,フィードインプレミアム(FIP) の2 つの方式(プレミアム固定型,下限価格保証型)を想定して実験をデザインし,方式の違いが再エネ投資に与える影響を検証することである。なお,本実験は実験室で行うことを想定していたが,新型コロナウイルスの感染予防の観点からインターネットを使ったオンライン実験に切り替えた。 2021年度に実施したFIP制度を模した経済実験の結果,①総じてプレミアム固定型のほうが下限価格保証型よりも再エネ投資が進みやすいこと,②実験ラウンドを経ると下限価格保証型での再エネ投資が増えること,③下限価格保証型では社会志向の被験者は個人主義の被検者より多くの再エネ投資をすること,などが示された。2022年度はこの結果を理論・実証の両面から分析し,論文としてまとめつつある。 研究の二つ目の柱は,電力プロシューマーを想定した消費に対するフレーミングやナッジの効果を検証することである。2021年度には,コミュニティ内の電力プロシューマーを想定した電力需給マッチの経済実験も試行し,消費ランキングがナッジ情報として与えられたグループで需給ギャップが経時的に縮減することが明らかになりつつある。2022年度は,電力を生産することによるモラルライセンシング効果やリバウンド効果に着目して経済実験の基本的設計を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により実験室での経済実験ができない状況のなか,オンライン実験に切り替えたことにより,おおむね当初の計画どおりに進捗しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度も電力プロシューマーの生産消費行動に関する経済実験等を進めることとしている。 具体的には,プロシューマーが電力を生産していることに起因するモラルライセンシング効果やリバウンド効果に着目した実験的研究を展開することとしている。 なお,行動制限が緩和されたため,実験室での経済実験とオンライン実験を併用して研究を推進することとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020-2022年度はコロナ禍により国内外での学会等のほとんどがオンライン開催となり,交通費,滞在費等が不要となったため次年度使用額が生じた。 2023年度は対面開催が増えるため交通費等の計画的執行が見込まれる。
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