• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

フィリピンにおける2つの「貧困」とコミュニティ:低所得者層の生活習慣病問題

研究課題

研究課題/領域番号 20K12316
研究機関東京大学

研究代表者

中西 徹  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30227839)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード有機農業 / 遺伝子組み換え作物 / 非感染性疾患 / 新しい貧困 / 「農」と「食」
研究実績の概要

本年度は,コロナ禍のために遅れていた三つの補足調査を行い,速報値にもとづき,調査地への研修成果の還元と「人間の安全保障」の観点からの「新しい貧困」と農業開発についての議論をまとめた。
3つの補足調査とは,①有機の島を目指していたネグロス島東ネグロス州における白色とうもろこしへの除草剤耐性GM種の汚染の実態,②中部ルソン地方ヌエバ・エシハ州の米作農村におけるF1種の普及による有機農業の停滞,③マニラ首都圏マラボン市における非感染性疾患(Non-Communicable Diseases:NCDs)の現状である。①と②は農村部における現状の把握であるが,前者では,ネグロス島では条例によって禁止されているはずのGM種が農民ネットワーク間で普及しているのに対して,後者ではF1種はコロナ禍の下での援助物資としての政策介入によるものである。前者の白色とうもろこしは食用であり,フィリピン全国レベルにおいてさえ,その商業栽培は禁止されており,この事実は極めて深刻な問題を提起している。今後の成果発表においては,この対照的な状況がアグリビジネスによって戦略的に実現されている可能性について検討を深める予定である。③については,フィリピン人医師との共同によるものであり,コロナ禍においてもNCDsが急速に拡がっている実態を確認することができた。
これらの補足調査に基づき,調査対象の都市貧困地区の住民を集め,フィリピン人医師とともに成果について公開し,「食」の重要性についての情報を共有した。
最後に,これらの成果の一部については,来年度に公刊される『人間の安全保障』において,「農業開発を再考する」として発表される予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] Kalusugan at Pagkain (in Tagalog Language)2023

    • 著者名/発表者名
      Toru NAKANISHI
    • 学会等名
      Sto Nino Food and Health Seminar
    • 招待講演
  • [図書] 「『農業開発』を考える」(阪本拓人他編『人間の安全保障Ⅱ』)2024

    • 著者名/発表者名
      中西徹
    • 総ページ数
      15
    • 出版者
      東京大学出版会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi