研究課題/領域番号 |
20K12318
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
戸部 健 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (20515407)
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研究分担者 |
鈴木 実佳 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (40297768)
今村 直樹 熊本大学, 永青文庫研究センター, 准教授 (50570727)
吉田 建一郎 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (60580826)
粟倉 大輔 帝京大学, 経済学部, 講師 (60757590)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 茶業 / 茶文化 / 地方文書 / 外国語文献 |
研究実績の概要 |
本研究は、近世から現代にかけての日本(静岡・熊本など)の茶業・茶文化の動向、およびその世界的な影響を、アメリカ・イギリス・中国・ロシアなどとの関係を視野に入れながら検討するものである。その際、これまでの日本の茶研究で注目されてこなかった日本の地方(じかた)文書や海外の外国語資料なども積極的に発掘し、利用する。以上の研究を通して、世界の長期的な流れのなかにおける日本茶の影響力の全体像を解明する道筋を付け、それをもとに日本茶業再生のヒントを探ることを目的としている。 今年度は、新型コロナウイルス感染症流行の影響から、国内での調査・研究に限定せざるを得なかったが、それでも茶業に関わる文書資料を、静岡県などを中心に多く発掘することができ、研究成果も出すことができた。また、それらに関わる公開シンポジウムにも多く参加し、例えば「初期島田茶業史展vol.4 シンポジウム」(於ふじのくに茶の都ミュージアム)には研究分担者と研究協力者がそれぞれ一人ずつ報告者として参加した。 他方、海外での現地調査はコロナ流行のため、まったく行うことができなかった。そのため、研究代表者は国内外で構築されている各種オンライン・データベースを網羅的に調査したが(調査の概要は「コロナ禍での資料集めについて」という題で『中央大学文学部東洋史学研究室白東史学会会報』45号にて発表)、その結果多くの関連資料を手に入れることができ、研究成果も出すことができた。また、海外への研究成果の発信という点については、研究分担者の一人が英語の論文集(Johnson in Japan)をアメリカで刊行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和二年度の本来のスケジュールとしては、内定後にできるだけ早い時期にウェブ上で研究会を持ち、活動内容などについて確認し、その後夏期休暇および春期休暇を利用して各自予備的な現地資料調査(国内・海外)を行なう予定であった。ウェブ上での研究会、および国内での資料調査についてはおおむね予定どおりに行うことができたが、海外での資料調査は十分に行うことができなかった。ただ、そのことがかえって海外のオンライン・データベースの有用性を再認識させる結果となり、かつそれらデータベースを通して多くの外国語資料を手に入れることができた。もちろん現地での資料調査に比べれば成果は少ないが、そのぶん個々の資料の読み込みをしっかり行うことができた。以上から、現在までの進捗状況を「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
令和三年度はメンバー各自で本格的な資料調査を行ないながら研究をまとめていき、その成果を研究会や外部の学会などで報告する。また、世界緑茶会議などが主催する市民交流イベントや静岡大学の学際科目「茶の世界」などでもその成果を発信していく。 そして最終年度に静岡においてシンポジウムを開催し、その成果を論文集のかたちで社会に発信する。 ただ、引き続きコロナ流行の影響を被ることも予想され、特に海外での資料調査にいたっては令和三年度も難しい可能性がある。その場合は、これまで収集してきた資料をもとに引き続き研究を行い、令和四年度に海外での資料調査を追加的に行うことになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来であれば海外(イギリス・アメリカ・中国)で資料調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症流行の影響により、実施することができなかった。また、同じ理由から、国内(大学図書館など)での資料調査も十分に行うことができなかった。そのために次年度使用額が発生してしまっている。 令和三年度にコロナの流行がある程度抑えられ、海外への渡航が可能になり次第、各地での調査を行う予定である。次年度使用額は、そのための費用として使用する予定である。。
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