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2020 年度 実施状況報告書

終末期患者に対するイスラーム的ケアの研究:イランにおける死の医療化をめぐって

研究課題

研究課題/領域番号 20K12326
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

細谷 幸子  国際医療福祉大学, 成田看護学部, 教授 (60516152)

研究分担者 葛西 賢太  上智大学, グリーフケア研究所, 准教授 (00281014)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードイラン / イスラーム / 終末期ケア / スピリチュアルケア
研究実績の概要

2020年度は新型コロナウィルス感染拡大で調査研究に協力予定だった在イラン医療者・宗教者のほとんどが患者対応に追われた。また、研究代表者はイランに渡航することができず、参与観察やインタビュー、ペルシャ語関連資料の収集などをすることができなかった。
しかし、新型コロナウィルス感染者やその家族へのイスラーム的ケアの実践について概略的な情報を得ることができた。さらに、オンライン・セミナーやカンファレンスへの参加、文献・資料収集により、イラン・イギリス・アメリカのイスラーム的ケアに関連した情報を得たほか、医療分野での在日ムスリム支援の実際について情報を入手した。
2020年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響で旅費の支出がなく、2021年度も海外渡航は困難であることが予測される。日本国内・日本-イランをつないでのオンライン・インタビューやウェブ会議等を開催することを視野に入れた研究活動を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2020年度は新型コロナウィルス感染拡大でイラン国内は医療崩壊の様相を呈し、調査研究に協力予定だった在イラン医療者・宗教者のほとんどが患者対応に追われ、彼ら自身も感染するなど、日本-イランを結んでのオンライン研究会等を開催する余裕すらない状況だった。研究代表者はイランに渡航することができず、参与観察やインタビュー、ペルシャ語関連資料の収集などをすることができなかった。
しかし、在イラン医療者・宗教者とアプリ等を介し日常的にコミュニケーションをとったことで、当初予定していたがん患者だけでなく、新型コロナウィルス感染者やその家族へのイスラーム的ケアの実践について概略的な情報を得ることができた。
また、イラン保健省等が主催した新型コロナウィルス感染予防や患者の医療に関するオンライン・セミナー、オンライン・カンファレンスに参加し、関連情報を得た。イラン以外の国々の情報として、イギリス・アメリカのムスリム・チャプレンの活動について文献で情報収集をおこない、名古屋や東京のモスク関係者と情報交換し、医療分野での在日ムスリム支援の実際についても情報を入手した。
さらに、イランにおける患者の権利に関連した文献や資料をもとに論文を執筆したほか、分担者や協力者とはzoomミーティング(2回)、メールで情報共有を行なった。

今後の研究の推進方策

2021年度も海外渡航は困難となることが予測される。また、イランでも日本でも、研究の協力者たちは臨床家であり、昨年同様、新型コロナウィルス感染者の対応に追われて十分な研究時間の確保ができない可能性が高い。そこで、当初の予定を変更し、以下の方法で研究を推進する。
1)各国の病院・刑務所・学校等におけるムスリムを対象としたイスラーム的ケアの実践について、関連する資料や文献を収集し、それらの読解から各国の状況を整理する。
2)日本国内で在日ムスリムを対象として提供されている宗教的支援の具体的内容を知るため、モスク関係者等を対象にオンライン・インタビューをおこなう。
3)新型コロナウィルス感染症パンデミック下におけるイスラーム的ケアの実践について、日本・イランの臨床家が情報交換するためのオンライン会議を開催する準備をおこなう。

次年度使用額が生じた理由

2020年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響で旅費の支出がなく、予算の余剰分が次年度に持ち越されることとなった。2021年度も海外渡航は困難であることが予測されるため、日本国内・日本-イランをつないでのオンライン・インタビューやウェブ会議等を開催することを視野に入れ、通訳や翻訳費用の捻出や、ウェブ会議を滞りなく遂行するためのパソコン・インターネット関連機器の購入などを予定している。また、各国における終末期ケア、スピリチュアルケア、イスラーム的ケアの状況に関連した文献・資料の収集を行うため、書籍購入費や文献複写費も必須となる。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (8件) (うちオープンアクセス 6件、 査読あり 6件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (6件)

  • [雑誌論文] 「イランにおける患者の権利をめぐる議論―映画監督キアロスタミの死を契機として」2021

    • 著者名/発表者名
      細谷幸子
    • 雑誌名

      上智大学イスラーム研究センターWPシリーズ『中東イスラーム圏における社会的弱者の権利を考える』

      巻: 33 ページ: オンライン公開待ち

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] “Wishes, Choices and Experiences in Marriage and Reproduction of People with Genetic Diseases: An Example of People with Thalassemia Major in Iran”2021

    • 著者名/発表者名
      Sachiko Hosoya
    • 雑誌名

      Ars Vivendi Journal

      巻: 13 ページ: 2-37

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] “Iranian patients’ attitudes to current and novel therapies: A patient directed survey”2021

    • 著者名/発表者名
      Mahmoud Hadipour Dehshal, Michael Angastiniotis, Sachiko Hosoya, Fatemeh Hashemi Bahremani, Mehdi Tabrizi Namini, Androulla Eleftheriou
    • 雑誌名

      Thalassemia Reports

      巻: 11(9514) ページ: 1-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 宗教系病院における死亡した非信者患者及びその家族への宗教者によるケア2021

    • 著者名/発表者名
      山本佳世子, 葛西賢太, 打本弘祐
    • 雑誌名

      天理医療大学紀要

      巻: 9(1) ページ: 13-26

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] “COVID-19 and Thalassemia in Iran”2020

    • 著者名/発表者名
      Mahmoud Hadipour Dehshal, Sachiko Hosoya, Fatemeh Hashemi Bahremani, Mehdi Tabrizi Namini, Androulla Eleftheriou
    • 雑誌名

      Thalassemia Reports

      巻: 10(9157) ページ: 25-28

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「イランのスピリチュアルケアの現状」2020

    • 著者名/発表者名
      細谷幸子
    • 雑誌名

      『グリーフケア』

      巻: 8 ページ: 195-246

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 心の声に従う-佼成カウンセリング研究所における傾聴者養成-民間信仰に根ざしたグリーフケアの可能性2020

    • 著者名/発表者名
      葛西賢太
    • 雑誌名

      中央学術研究所紀要、49号、127-146頁。

      巻: 49 ページ: 127-146

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 持続可能な善意2020

    • 著者名/発表者名
      葛西賢太
    • 雑誌名

      福音宣教

      巻: 75(1) ページ: 27-33

  • [学会発表] 「イランのろう者の手話に関する情報」2021

    • 著者名/発表者名
      細谷幸子
    • 学会等名
      イラン研究会
  • [学会発表] 「AAにおける「自力」と「他力」――認知行動療法との比較から」2021

    • 著者名/発表者名
      葛西賢太
    • 学会等名
      アルコール関連問題学会千葉大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 「医療機関におけるムスリム対応」2020

    • 著者名/発表者名
      細谷幸子
    • 学会等名
      基盤研究(A)「イスラーム・ジェンダー学と現代的課題に関する応用的・実践的研究」公開セミナー「日本に暮らすムスリムを取り巻く諸問題―職場・学校・地域から」
    • 招待講演
  • [学会発表] 「心の声に従う-佼成カウンセリング研究所における傾聴者養成-」2020

    • 著者名/発表者名
      葛西賢太
    • 学会等名
      日本宗教学会第79回学術大会個人発表、駒澤大学
  • [図書] The Bloomsbury Handbook of Japanese Religions, KASAI Kenta “Chaplaincy and Spiritual Care,”2021

    • 著者名/発表者名
      Erica Baffelli, Andrea Castiglioni, and Fabio Rambelli, ed.
    • 総ページ数
      Kindle Location, 496-627
    • 出版者
      Bloomsbury Academic
  • [図書] 『新世界の社会福祉年鑑2020:<特集>感染症と社会福祉―コロナ禍と人間』細谷幸子「イラン:第三波にあえぐイラン」(pp247-249)を担当2020

    • 著者名/発表者名
      宇佐美耕一他編
    • 総ページ数
      439
    • 出版者
      旬報社
    • ISBN
      978-4-8451-1670-6
  • [図書] 『響きあうフィールド』細谷幸子「イランで病をもって生きる」(pp430-443)を担当2020

    • 著者名/発表者名
      和崎春日編
    • 総ページ数
      779
    • 出版者
      刀水書房
    • ISBN
      978-4887084599
  • [図書] 『新世界の社会福祉11:アフリカ中東』細谷幸子「イランの障害者福祉」(pp295-330)を担当2020

    • 著者名/発表者名
      岩崎えり奈編
    • 総ページ数
      471
    • 出版者
      旬報社
    • ISBN
      978-4845115983
  • [図書] 『知っておきたい日本の宗教』葛西賢太「日本の宗教は苦しむ人をたすけているか」「日本人はどんな瞑想をしているのか」を担当2020

    • 著者名/発表者名
      岩田文昭・碧海寿広編著
    • 総ページ数
      268
    • 出版者
      ミネルヴァ書房 2020年10月20日、146-153、162-169頁。
    • ISBN
      4623090000
  • [図書] 『アルコホーリクス・アノニマスの歴史--酒を手ばなした人びとをむすぶ』2020

    • 著者名/発表者名
      アーネスト・カーツ著、葛西賢太・岡崎直人・菅仁美訳
    • 総ページ数
      612
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      4750350761

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公開日: 2021-12-27  

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