研究課題/領域番号 |
20K12328
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
立石 洋子 成蹊大学, 法学部, 助教 (00633504)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ソ連 / ロシア / 歴史認識 / 歴史教育 |
研究実績の概要 |
2020年度は国内の他大学や海外への出張ができなかったため、資料収集の計画を大きく変更し、それに従って研究の内容も変更した。まず海外出張はすべて中止し、学会は延期された。国内での学会はオンラインとなり、他大学の図書館については入館だけでなく、文献の取り寄せという形での利用も不可能となった。そのため、本来の研究課題に関連性があり、また日本で購入できる資料を中心に進められるような課題に取り組んだ。 その結果、まずソ連における抑圧の歴史の解明と犠牲者の情報の調査・記録に取り組んできた非政府団体であるメモリアルの活動について、1980年代後半から現代までの活動を検討した。次に、1991年のソ連の解体後、政治的抑圧の被害者の名誉回復がどのように進められてきたのか、また現在までに関連する制度がどのように変化し、どのような課題が指摘されているのかという問題を、法律や制度の変遷、この問題に関わるメモリアルをはじめとする非政府団体、議員や政党の活動などを中心に明らかにした。 これに加えて、2017年に迎えたロシア革命100周年の記念式典に関する議論の特徴を分析し、それを通じて現在のロシアの政治家やマスメディア、知識人がソ連時代の歴史にどのように向き合おうとしているのかを明らかにしようと試みた。さらに、19世紀のカフカース戦争の評価が、同時代からソ連時代を経て、現在のロシアにおいてどのように変化してきたのかという問題を、歴史家の議論や歴史教科書、社会科教科書の内容などから検討した。 以上の研究結果は、『ワセダ・アジアレビュー』、『ロシア・ユーラシアの経済と社会』、『ユーラシア研究』、『歴史学研究』でそれぞれ発表した(『ユーラシア研究』、『歴史学研究』はそれぞれ2021年の春と秋に掲載予定。) またこれらの研究とは別に、研究テーマに関連する英語の書籍の翻訳にも取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究内容の変更を余儀なくされたものの、変更後のテーマの研究が進み、それが今後、変更前の研究計画の進展にも役立つと予測されるため。
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今後の研究の推進方策 |
国外での資料収集や国内の他大学の図書館の資料の利用が可能になれば、変更前の研究計画に沿って研究を進める。それとともに、それが可能になるまでは、2020年度に取り組んだ変更後の新たな研究課題に継続して取り組む。そのための資料としては、国内で購入できる定期刊行物(新聞、雑誌)や資料集を中心的に利用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は国内外での資料収集や学会・研究会への参加が中止されたため。2021年度にはもし可能になれば、国内外での資料収集、学会・研究会への参加のための費用とする。もし不可能であれば、国内で購入できる書籍などの資料の購入、消耗品の費用、外国語で作成した発表原稿の校正費用などにあてる予定である。
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