研究課題/領域番号 |
20K12334
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研究機関 | フェリス女学院大学 |
研究代表者 |
中川 正紀 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (70295880)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ワシントンDC / トランスナショナル家族 / 国際労働力移動 / アイデンティティ / 定質的研究 / 同郷人ネットワーク / 先駆的移民女性 / ジェントリフィケーション |
研究実績の概要 |
2020年度はコロナ感染拡大の影響で、米国への渡航は不可能となり一年目の中心的作業であったワシントンDCでの現地調査は叶わなかった。 研究代表者は、21年6月に明石書店より刊行予定の現在のアメリカ合衆国の抱える諸問題に関する共著『第63章』(仮題)に掲載するための、若年移民に対する国外強制退去の延期措置(DACA)、メキシコとの国境の壁、ラティーノ集団の現在に関する3章分の原稿を執筆し、目下、編集作業中である。 また、代表者は21年3月13・14日に行われた立教大学ラテンアメリカ研究所・同アメリカ研究所共催の連続公開講演会「米国とラテンアメリカの国際関係」の第2回「米国との国境を越える移民」において、在米エルサルバドル系移民の持つ本国への郷愁の念「ノスタルジー」に関して、渡米動機や残留家族との繋がりなどの観点から講演を行い、今後の本研究調査への有意義な示唆をいただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度はコロナ感染拡大の影響で、米国への渡航は不可能となり一年目の中心的作業であったワシントンDCでの現地調査は叶わなかった。そのため、現地での聞き取り調査による実地データは手に入らなかったが、女性がわが子を本国に残して移民した場合に行わなければならない「遠隔母親業」の抱える問題点などについて既存の研究成果などから理解を深めた。また、2021年3月14日の合同講演会では、メキシコ系移民の米国社会におけるジェンダー別の受け入れられ方の違いが別の講演者の平井氏から指摘され、これについてエルサルバドル系移民の場合を考える一つの機会を得た。この後の現地調査の準備においては、移民女性にとっての「遠隔母親業」という負担およびホスト国におけるジェンダー別の移民の受容状況の違いについても注目していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画の実施は日米両国のコロナ感染拡大状況によるが、予定していた2年にわたる現地聞き取り調査を1年ずつ先送りすることとしたい。具体的には、初年度夏に計画していた「1960年代、70年代移民」40人を対象とする聞き取り調査を2021年度夏に延期する。これに向けて、現地協力者と主にメールを通じたやりとりで調査準備を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はコロナ感染拡大の影響で、米国への渡航は不可能となり一年目の中心的作業であったワシントンDCでの現地調査は実施できなかった。今後の計画の実施は日米両国のコロナ感染拡大状況によるが、初年度に計画していた「1960年代、70年代移民」40人を対象とする聞き取り調査を2021年度に延期した。そのため、21年度8月に行う「1960年代、70年代移民」40人を対象とする聞き取り調査のために、20年度に使用するはずであった助成金を21年度に使用することとなる。
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