研究課題/領域番号 |
20K12334
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研究機関 | フェリス女学院大学 |
研究代表者 |
中川 正紀 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (70295880)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ワシントンDC / トランスナショナル家族 / 国際労働力移動 / アイデンティティ / 定質的研究 / 同郷人ネットワーク / 先駆的移民女性 / ジェントリフィケーション |
研究実績の概要 |
2021年度は2020年度から引き続き、新型コロナウイルス感染拡大の影響で米国への渡航は不可能となり、一年目、二年目の中心的作業であったワシントンDCでの現地調査は叶わなかった。 研究代表者は、共著として2021年9月に明石書店より、明石紀雄監修、大類久恵・落合明子・赤尾千波編著『現代アメリカ社会を知るための63章【2020年代】』を刊行した。同書中、「第13章 「国境の壁」と非合法移民: 「移民問題」の政治的利用に終始するアメリカ」、「第14章 DACA: 若年移民に対する国外強制退去延期措置の行方」および「第27章 ラティーノ集団の現在――政治的影響力の増大と集団全体の政治意識の行方」を執筆担当した。 また、2021年3月に開催された立教大学ラテンアメリカ研究所・同アメリカ研究所共催の連続公開講演会「米国とラテンアメリカの国際関係」の第2回講演「米国との国境を越える移民」を代表者が行ったが、その講演会の報告書は近刊『立教大学ラテンアメリカ研究所報』No. 49に掲載予定であり、現在、その原稿の編集作業が同編集委員会によって進行中である。この講演会の報告書をまとめるにあたって、2017年に米国ロサンゼルスで聞き取り調査をしたエルサルバドル系移民31名について、出身国に寄せるノスタルジーと帰国願望との関係性を各自の取り巻く諸事情から考察することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は2020年度と同様、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、米国への渡航は叶わず、一年目、二年目に計画していたワシントンDCでの現地調査は実現不可能となり、実地データの収集はまだ緒に就いていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後の現地調査の実施は日米両国の新型コロナウイルス感染拡大状況によるが、延期していた一年目、二年目の現地聞き取り調査を、それぞれ2022年度夏、2023年度夏に行う方向で準備を進めたい。まずは、初年度夏に計画していた「1960年代、70年代移民」40人を対象とする聞き取り調査を2022年度夏に延期する。かねてからの計画にしたがい、先駆的女性移民の移動・定着過程、同伴・残留家族との繋がり、さらにネットワークによる後続移民への影響についてインタビュー調査を実施したい。これに向けて、インタビューで計画する質問事項の見直しを改めて行うとともに、現地協力者とのメールのやりとりを通じて、特に新型コロナウイルス感染対策についても万全を期しながら、調査準備を進めていく予定である。 もし2022年度夏にも現地調査が実行できなかった場合には、さらなる調査計画の延期を考えざるを得ないが、それとともに2021年度、2022年度を中心に公刊されたエルサルバドル系移民女性の聞き取り調査に基づく英語・スペイン語による研究成果を渉猟し、今後の実地調査における研究視点をさらに多面的なものにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で米国への渡航は不可能となり、本研究期間の初年度であった2020年度から延期していたワシントンDCでの1年目の現地調査はまたしても実施できなかった。今後の実地データ収集のための現地調査の実施は日米両国の新型コロナウイルス感染拡大状況によるが、2021年度に延期した「1960年代、70年代移民」40人対象の聞き取り調査を、2022年度にさらに延期することとした。そのため、2022年度8月に行うこととなる、この聞き取り調査のために、2021年度に使用するはずであった助成金を2022年度に使用することとなる。
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