研究課題/領域番号 |
20K12337
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
川田 進 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10288756)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 中国共産党 / 宗教政策 / チベット仏教 / イスラーム / 潜伏キリシタン / 民族紛争 / 宗教ネットワーク / ベトナム |
研究実績の概要 |
2020年度に続き2021年度もコロナ禍の影響を受け、予定していた中国、ミャンマーでの現地調査を行うことができなかったため、研究の進捗状況は良好とは言えない。当初、(1)北京の国家図書館にて宗教紛争関連の文献複写、(2)中国雲南省のチベット仏教在家信徒活動拠点での聞き取り調査、(3)ミャンマーのヤンゴン市内イスラームマスジドでの参与観察を予定していたが、いずれも実施することができなかった。 そして2021年は調査対象国の政情不安が噴出した年でもあった。中国共産党の党大会開催を翌年に控えて、当局の情報統制強化により、宗教団体や少数民族組織のウェブサイトが次々と閉鎖されたため、インターネット上に掲載された情報を収集することが困難であった。ミャンマーでは2021年に国軍によるクーデターが勃発したことにより、これまでの民政支配体制が崩壊し、国内の広範囲で国軍対民政派の武力紛争が繰り広げられる事態に陥った。 そのため研究方針を転換を余儀なくされた。日本国内で生活するベトナム人在家信徒の実態を観察し、彼らの信仰生活と日本社会との軋轢に関する情報を収集した。訪問先は和楽寺(神戸市)と南和寺(埼玉県越谷市)である。両寺院にて関西圏と首都圏に暮らすベトナム人(主に外国人実習生)の仏教修行を観察し、インタビューを行った。その他、和歌山県立博物館(和歌山市)、新大仏寺と大山田郷土資料館(三重県伊賀市)、熊山遺跡(岡山県赤磐市)にて、チベット仏教、密教、民俗宗教に関する調査を行い、研究課題を進めるための補助作業とした。 さらに長崎県の平戸市と島原市、熊本県の天草市の資料館にて、潜伏キリシタンと海外宗教ネットワークの形成に関する資料収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍が続く中で海外出張を行うことが困難であり、海外での文献収集、聞き取り調査を行うことができなかったため。加えて、中国政府のウェブ管理強化がなされたため、仏教やイスラーム諸団体のサイトが閉鎖され、十分な情報収集を行うことが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
事情が許せば、中国、台湾、ミャンマー、ベトナムなどで宗教紛争に関する現地調査を実施したい。海外調査が困難な場合は、中国イスラームとチベット仏教に関する文献調査および図版資料集の作成、国内の宗教コミュニティ(仏教、イスラーム、キリスト教等)調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外現地調査を複数回行う予定であったが、コロナ禍の継続により海外出張旅費を使うことができなかったため。今後、海外渡航が可能になった場合、旅費として用いる。渡航制限が続く場合は、国内宗教コミュニティの調査を行い、図版資料集の作成費と印刷費に活用する。
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