ラテンアメリカ先住民に着目することで、開発目標を相対化し、かつ開発目標が政治権力によって支えられていることが見えてくる。開発目標の定めることは生きることについて尺度を設け、測定する行為である。飢餓など人類共通の問題を見出すことで、文化的背景を持たない一般化可能な目標を作り、それが人間の行動を誘導することには一定の意義がある。しかし同時に、そうした一般性を批判的に捉え直すことで、現在ある開発目標には再考の余地があることが分かる。将来、より良い目標を構築するにせよ、目標を作ること自体を批判するにせよ、開発目標は未だ考え続けるべき課題であることを示したことが、本研究の社会的意義である。
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