従来文化大革命(文革)の研究は社会構造や政治過程からのアプローチが主流であったが、本研究はフレーム分析の手法を用いて、文革の集合行為・暴力の認知プロセスに焦点を当てることを目的とした。 上述の研究成果のうち、単著論文(「陰謀論としての継続革命論、そして文化大革命」)は、陰謀論的フレームが文革の集合的暴力の一因となったことを明らかにした。また、紅衛兵・造反派の新聞をデジタル化・データ化したことは、広く今後の研究に役立つであろう。招待講演(「文化大革命の派閥抗争とは何だったのか」)や単訳書(ウォルダー『脱線した革命ーー毛沢東時代の中国』)は、研究成果を社会に還元する上で意義があったといえる。
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