研究課題/領域番号 |
20K12350
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
江藤 双恵 獨協大学, 国際教養学部, 非常勤講師 (50376828)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 女性グループ / コミュニティ福祉 / ボランティア / 福祉政策のガバナンス / 地方自治体 / 女性支援 / 新型コロナ禍 / 人のつながり |
研究実績の概要 |
新型コロナ禍によって渡タイが困難であっただけでなく、研究代表者の主たる調査地が自主的にロックダウンを実施していたため、2021年にはコンケン県のノンルア郡とバンへット郡の2つの自治体の福祉担当者との間でメールとSNSを通じて情報交流を実施した。11月には、コンケン大学農学部元教員がノンルア郡の自治体を訪問し調査を行い、既存のプロジェクトの進行状況と新たなプロジェクトの内容について確認した。 上記の結果判明したことは、前回調査時から継続される活動は1.村落保健ボランティア、2.コミュニティ内家庭開発センター、3.高齢者ケアボランティア、4.水産加工女性グループの活動で、新たに加わったのが、5. 高齢者の生活の質の向上及び就労推進センター活動。6.女性福祉基金、7.リサイクル品基金、8.一タムボン一大学プロジェクトにおける綿織物グループ活動である。 2021年11月現在、保健省、教育省、内務省、社会開発人間の安全保障省など関連省庁および民間企業が支援を提供している。特筆すべきは、ノンルア郡では、4の水産加工女性グループ活動をコミュニティビジネスとして内務省の一村一品事業に登録し、ラチャモンコン工科大学から学術面での支援を受け、このグループ活動を企業化することを進めていること、また、近隣の製糖工場が、新型コロナウィルスの影響や水害を受けたさとうきび農家の支援のために女性グループの商品を60万バーツ以上発注したことである。 さらに、2022年3月には、「人と人のつながり=福祉社会の構築における仏教の役割ータイの事例から」という題目でコミュニティ福祉における仏教の役割に関するオンライン講演会を行った。タイ在住の仏教研究者に講演をお願いし、日本側からはタイ女性の支援のエキスパートに解説を依頼した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナ禍で、日本からタイへの渡航が難しかっただけでなく、主たる調査地が村ごとロックダウンしていた等の事情により、代表者自身が現地調査に赴くことができなかっただけでなく、バンコクやコンケンなど都市部在住の協力者による現地調査も2021年10月までは困難であった。11月には協力者による現地調査が実現したが、一か所のみであった。それ以外については、SNSやメール、電話等で現地の情勢を逐一把握するよう努めたが、調査対象者が新型コロナ対策で多忙を極めていたため、判明した事実から派生する疑問を解消するためのインタビューは困難であり、また、詳細について確認することも難しかった。よって、限られた調査地における継続プロジェクトと新規プロジェクトの目的や内容、予算に関する表面的で概略的な状況把握にとどまり、ジェンダー政策や家族政策に関わる深い分析などが全く行えていない。新型コロナ禍の影響についても同様である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ禍の状況次第ではあるが、2022年度中に現地調査を実施し、新たに開始されている福祉プロジェクトについて、詳細の確認を行いたい。ノンルア郡だけでなく、少なくともコンケン県内の3~5か所で実態把握を行う。特に地方における新型コロナ禍の影響をジェンダー視点で分析することを重点課題として、情報が得られている既存の調査地を中心に調査を実施する。2022年度に調査が実施できなかった場合や、分析が深まらないリスクを想定して、本研究の期間延長を申請することも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ禍によってタイにおける現地調査が実施できなかったため、海外旅費および人件費のほとんどを使用できなかった。国内での学会もすべてオンラインでの実施であったため、国内旅費も使用していない。
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