研究課題
本研究の問いは、「現代中国のインディペンデント映画―政府の公式上映許可を得ていない、比較的低予算の映画;フィクションとドキュメンタリー双方を含む―が、規制が強まる中にあっても、その生産・流通・消費を通じて批判的公共言説を生成するメカニズムはどのようなものか?」というものであった。本年度は、前年度までに行った映画製作者(監督・プロデューサー)と鑑賞者へのインタビュー調査のデータ分析に基づき、1)国家と社会と芸術(=インディペンデント映画)の関係性、2)生産と消費の関係性、3)映画製作者(監督・プロデューサー等)と作品への登場人物の関係性、4)研究者と研究対象の関係性、5)人とモノの関係性、6)フィクションとドキュメンタリーの関係性、7)歴史と現在の関係性、8)ナショナルとトランスナショナルの関係性、の八つの「関係性」のメカニズムを明らかにした。記述的地域研究に加えて分析的地域研究を模索する一つの手立てとして、上記、八つの関係性に着目することの有効性を示したことが、本研究成果の学術的意義として確認された。社会的意義としては、国外にはあまり伝えられることのない中国国内でのインディペンデント映画作品の内容とその生産・流通・消費を明らかにすることによって、様々な規制が存在する中でも、社会批判的な言説の発信が可能であることを示すことができ、それは日本を含む国外への示唆も大きいものであることを明らかにすることができた。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Marketing the Arts, Breaking Boundaries
巻: 4 ページ: 64~79
10.4324/9781003021766-5
Global Media and China
巻: 7 ページ: 380~382
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