研究課題/領域番号 |
20K12364
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
佐々木 智弘 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 教授 (40436663)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 官僚組織 / 中央全面深化改革委員会 / 政策調整 |
研究実績の概要 |
本研究は、第1期習近平政権期に官僚組織の関係性の再構築が見られた軍民融合イノベーション政策と低成長時代を迎えた新常態のマクロ経済政策の政策過程に関する事例研究を行うものである。 前者については、関連する官僚組織の特定、それらが通達した政策文書を収集した。今後、関連する官僚組織の関係性について考察を進める。 後者については、ケーススタディーとして中央全面深化改革委員会会議で採択された政策文書の分析を通じて、中央全面深化改革委員会の役割を考察し、以下の3点を明らかにした。第1に、中央全面深化改革委員会の役割は、時期ごとに異なる意味をもっていた。第2期習近平政権は、発足直後と2020年以降で、大きく異なる政策調整体制を有していた。それは、時期によって直面する政策課題が異なることを反映したものだった。第2に、中央全面深化改革領導小組と中央全面深化改革委員会の設置は、習近平に権力を集中しようということではなく、これまでの体制が扱えなかった事案を補うためのものであった。それは組織の問題とも言え、既存の主管官庁の不足を補ってきた。第3に、18期3中全会の決定である改革の全面的な深化を進めるための「アドホック」な機構にすぎない。例えば、経済分野では、国家発展改革委員会や財政部が無関心なわけではなく、また従来型の調整に変化はないと言える。中央全面深化改革領導小組・委員会の設立は、既存の中央政治局や部門の役割を変えるものにはなっていない。約10年のあいだで、習近平が目指した頂層設計という点からは、中央全面深化改革領導小組・委員会の組織的成長は見られなかった。この研究成果は英文で発表した。 また、第2期習近平政権の党の議事協調機構について分析し、論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
軍民融合イノベーション政策の研究については、コロナによる渡航制限など理由から現地調査を実施できなかったこと、中国国内の情勢により資料収集が思うようにできなかったことにより、ケーススタディーができなかったことから、進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はコロナによる渡航制限が緩和されると思われるため、現地調査の実施を検討している。また最終年度にあたり、国内の研究者に成果評価を求めていきたい。資料収集についても、図書購入などできる範囲で拡大を図りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナによる渡航制限など理由から中国を含めた海外での現地調査を実施できなかったこと、中国国内の情勢により資料収集が思うようにできなかったことにより、旅費、人件費・謝金が発生しなかったことによる。 次年度はコロナによる渡航制限の緩和に伴い、海外での現地調査を実施したい。また流通の再開により、現地語の資料収集も進めることができる見通しである。さらに最終年度とりまとめのための国内の研究者からの成果評価を行う機会を設けるなど有効に使用したい。
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