研究課題/領域番号 |
20K12369
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
金 明美 静岡大学, 情報学部, 教授 (50422738)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 東シナ海域 / 文化伝統 / 女性 / 共同祭祀 / 境界領域 / 宗教的観念 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
2021年度も、2020年度に引き続き、新型コロナウイルス感染に係る行動規制等が求められたため、海外及び国内での現地調査(日韓中の境界領域における女性主体の共同祭祀とそれを支える宗教的観念に関するフィールドワークの実施とそれに基づくデータの収集)を実施することができなかった。そのため、昨年度と同様、文献研究を行ったが、昨年度の文献研究を通して明らかになった本研究にとって重要な文献について、論文作成のための講読とデータベース化を進めた。文献は大きく分けて以下の四つとなる。 一つ目は、日韓中の境界領域となる地域での女性主体の共同祭祀やそれを支える宗教的観念についての共時的なフィールドデータを収集する際に踏まえるべき、歴史的・地域的文脈につて理解するための文献である(文学通信の『東アジア文化講座』シリーズ等)。 二つ目は、近年の文化人類学において、脱人間中心主義を背景に登場した「存在論的転回」などといわれる理論的動向に関する文献の研究を通して、本研究の理論的枠組みや概念を設定する上で、重要であると気づかされたレヴィ=ストロースの構造主義を理解するための文献とレヴィ=ストロースの著作である。 三つ目は、アニミズムや「宗教」観念の見直しに関する近年の研究、並びに日本における死者と霊性の問題等を論じている民俗学、宗教学や歴史学(民衆宗教史や仏教・修験道史など)の文献である。 四つ目は、ジェンダーと宗教、共同体の関係を考える上で示唆を受けた文献『苦海・浄土・日本:石牟礼道子 もだえ神の精神』(田中優子著、2020年)とそこから読み進めている石牟礼道子の著作である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度も2020年度に引き続き、新型コロナウイルス感染に係る行動規制等が求められたため、当初予定していた国内外での現地調査ができなくなったただけでなく、所属機関においてコロナ禍対応が随時求められる委員会の長として、教育・運営上の重責業務が重なり、それらの対応に追われ、文献研究推進にも困難が伴ったためである。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度については、新型コロナウイルス感染状況が落ち着き、現地調査の実施が可能になれば、国内外でのフィールドワークを実施していく予定である。 もし、それが困難な場合は、代替措置として引き続き、文献収集・研究の成果を発表する方向で研究の推進をはかりたいと考える。具体的には、すでに行っている主に4つの面からの文献研究のデータベース化を推し進めるとともに、それに基づく論文構想を研究会や学会で発表し、論文を作成していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた現地調査ができなかったためである。今年度実施できなかったフィールドワークについては、次年度(2022年度)に新型コロナウィルス感染状況が落ち着き、現地調査が可能になれば実施する予定である。よって、次年度使用分は、現地調査の際に必要とする旅費、消耗品、資料整理のための人件費に使用する。
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備考 |
研究室紹介 https://www.inf.shizuoka.ac.jp/labs/society_detail.html?UC=kjmyungmi
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