研究課題/領域番号 |
20K12370
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市川 光雄 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 名誉教授 (50115789)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 狩猟採集民 / 農耕民 / 民族間関係 / 中央アフリカ / 森林物産 / 植民地体制 / 歴史的変化 |
研究実績の概要 |
2021年度に実施予定だったアフリカにおける現地調査、及び連合王国、ベルギー、フランス等の旧宗主国の古文書館や図書館におけるアーカイブ資料の収集は、前年と同様にCOVID-19の蔓延による渡航制限のため実施できなかった。 2021年度には、前年度につづき、アフリカ地域における狩猟採集民と周辺の農耕民等との民族間関係とその歴史に関して、主としてインターネットを介した資料収集を行い、それらについての検討をおこなった。中央アフリカ熱帯雨林地域の先住民である狩猟採集民に関しては、初期の旅行記や探検家、行政官の報告、最近の自然保護計画や開発計画に伴う先住民問題や、地域社会における民族間の軋轢などに関する資料を可能な範囲で収集し、分析をおこなった。とくに、コンゴ民主共和国(旧ザイール)内陸部のイトゥリの森における農耕民と狩猟採集民の関係の変遷を主として文献資料から、(1)19世紀末以降の象牙交易と天然ゴムなどの森林物産採取の時代、(2)植民地経営の本格化による農業生産の拡大と行政機構への住民の取り込みの時代、(3)独立直後の内乱の時代、(4)市場経済や環境保護、先住民運動の浸透などグローバルな経済・政治状況の盈虚を強く受けた時代などの歴史的変化に留意した区分に従って検討した。象牙や天然ゴムなどの森林物産の交易や農業生産の拡大にともなう労働力需要などによって両者の関係の緊密化が進む一方で、徴税、教育、雇用、国家や地方の政治・行政への参加といった、国家体制への取り込みなどの面における相違から両者の差異化が進んだことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本計画は海外の大学や図書館、古文書館などで収集した文献資料の検討、及びアフリカでの現地調査を主体とするものであるが、COVID-19の蔓延にともなう渡航制限により、予定していた海外での活動がまったく実施できなかった。海外での調査活動は次年度以降に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の蔓延に伴う渡航制限のため、海外での資料収集や現地調査に関わる部分の研究計画が遅れているが、パンデミックがある程度収束し、渡航制限が緩和されたのちに、ワクチン接種などの対策を講じて、現地調査及び海外での資料収集を再開する計画である。とくに先住民である狩猟採集民と農耕民の関係の緊密化と差異化の過程と、それらの過程に影響を与えた政治、経済的状況とその変化に注意しながら資料の分析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19によるパンデミックのために、計画していた海外での調査及び海外機関での資料収集が実施できなかった。2022年度にはワクチン接種が普及し、パンデミックが収束に向かうと考えられるため、2020年度、及び2021年度に予定していた海外での現地調査及び資料収集をあわせて実施する予定である。 なお、パンデミックの収束が遅れた場合には、2023年度に繰り越して海外調査を実施することになる。
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