研究課題/領域番号 |
20K12370
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市川 光雄 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 名誉教授 (50115789)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 森林物産 / 交易 / 農業生産 / 流通 / 植民地期 / 民族間関係 |
研究実績の概要 |
2022年度に実施予定だったアフリカにおける現地調査、及び連合王国、フランス等の旧宗主国の古文書館や図書館におけるアーカイブ資料の収集は、前年と同様にCOVID-19の蔓延による渡航制限、及び自身の眼科手術のため実施できなかった。 2022年度には前年度につづき、アフリカ地域における狩猟採集民と周辺の農耕民等との民族間関係とその歴史に関して、文献資料およびインターネットを介して収集した情報資料についての検討をおこなった。とくに中央アフリカ熱帯雨林地域の狩猟採集民に関して、初期の旅行記や探検家、行政官の報告、最近の自然保護計画や開発計画に伴う先住民問題や、地域社会における民族間の軋轢などに関する資料を可能な範囲で収集し、分析をおこなった。 コンゴ共和国北部及び中央アフリカ共和国南部に住む狩猟採集民アカと農耕民との関係の変遷について、主としてフランスの研究者らによる民族誌を検討し、両者の関係が(1)ヨーロッパ人との接触以前、(2)植民地期、(3)脱植民地期においてどのように変化してきたのかを分析した。アカと農耕民の間での森林物産の取引はかなり以前から存在したが、とくに19世紀以降の象牙、コパール(樹脂)、毛皮などに対する欧米からの需要拡大に伴って、それらの採取(捕獲)に関わる狩猟採集民と、交易を担う農耕民の関係が緊密化する一方で、それらの物産の流通を農耕民が独占し、狩猟採集民の外部社会との直接的接触を排除してきたこと、さらに植民地化以降の商品作物等の農業生産の拡大にともなうアカの労働力に対するコントロール、狩猟採集民の国家行政機構からの排除もしくは不参加などを通して両者の間の不平等な関係が強化されてきたこと、などが指摘できるとした。 また、これらについてアイルランドで開催された国際狩猟採集社会会議の場において関連研究者と意見交換をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度に実施予定だったアフリカにおける現地調査、及び旧宗主国の古文書館や図書館における文献・資料の収集は、前年と同様にCOVID-19の蔓延による渡航制限、および自身の眼科手術のため実施できなかった。そのため、本年度は主として文献資料などの分析に集中せざるを得なかった
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今後の研究の推進方策 |
本年度に実施できなかった実地調査、資料収集などは予算を次年度に繰り越して行う予定である(繰り越し承認済)。 また、本研究による成果は、執筆中の英文著書のうちの1章にまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に予定していた海外での実地調査及び資料収集がCOVID-19感染症の影響により実施できなかったためであり、次年度に予算を繰り越して実施する計画である(繰り越し承認済)。
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