研究課題/領域番号 |
20K12371
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北村 由美 京都大学, 附属図書館, 准教授 (70335214)
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研究分担者 |
佐々木 拓雄 久留米大学, 法学部, 教授 (10461469)
足立 真理 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(PD) (10848675)
野中 葉 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 准教授 (70648691)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インドネシア / 宗教間対話 / 政教関係 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、世界最大のイスラーム人口をかかえながらも多宗教国家であるインドネシアを対象として、宗教間対話の歴史的潮流と現状を、同国の政教関係に照らし合わせながら明らかにすることである。具体的には、第二次世界大戦後のインドネシアにおけるスハルト大統領による権威主義体制期(1967年~1998年)と民主化後(1998年~)対象とし、(1)時代ごと、宗教ごとの政教関係の調査・分析を軸としつつ、(2)フィールドワークによる一般の信徒の宗教実践と宗教理解の調査・分析、(3)小説やポップカルチャー見られる各宗教の表象とその影響の調査・分析を中心に研究を進めた。 2023年度の主な成果を挙げる。(1)に関連してインドネシアの代表的イスラーム知識人の一人であるアブドゥルラフマン・ワヒド氏の思想を紹介する論考を公刊した。また、1970年代後半に限定してではあるが、イスラーム関係の雑誌とカトリック系の雑誌の内容分析、同時代のイスラームとカトリックにおける政教関係の比較を試みた。(2)に関しては、キリスト教徒がマジョリティである東インドネシアにおけるムスリムとキリスト教徒関係について現地調査を行った。さらに、インドネシアの一般のムスリムによる喜捨に関するツイッター(X)分析を行い口頭発表した。(3)に関してはイスラームを題材とした文学における現代インドネシア社会に関する論考や、日本で生まれ育ったインドネシア人の子弟をはじめとするヤング・ムスリムらのドキュメンタリー映像の作成と作品に関する講演や論考を行った。 科研期間を通し、独立後のインドネシア1960年代以降の政教関係、政教関係、一般信徒の実践を様々な位相において検討した。イスラームの保守化による社会の分断というこれまでの先行研究が示した分析を越え、地域性、階層、世代、文化実践、SNSなどの影響を包括的に検討する宗教研究が今後の課題である。
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