研究課題/領域番号 |
20K12374
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
久保 中央 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (60347440)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | チャ / 伝播 / DNAマーカー / 在来種 / 品種 |
研究実績の概要 |
日本におけるチャの伝播の窓口となった可能性のある九州北部の在来種の葉試料を入手してSSRマーカー9遺伝子座(Kubo et al. 2019)を用いてDNA型を比較し、それらの遺伝的特徴を解析した。DNA抽出およびSSRマーカー9座によるDNA型の分析は問題なく行うことが出来た。近隣接合法で作製した樹状図(デンドログラム)では、九州北部の系統は京都を含む在来種のグループ(Kubo et al. 2019のグループI)に含まれた。供試した九州北部の系統は、グループIの中で互いに離れた位置に分布し、九州北部の在来種の中でも遺伝的な差異が存在する可能性が示唆された。 この他、他地域由来の葉試料を追加して解析を行ったところ、多くの系統がグループIに含まれることが明らかになった。 また、SSRによるDNA型分析の過程で、国内のチャ品種(79品種)に関して親子関係が明らかになった。具体的には、37品種(12品種の両親、および、25品種の片親)について、親子品種間においてSSRのDNA型に矛盾が全くなく、親子関係を同定あるいは確認することが出来た。うち、5品種(‘鳳凰’,‘展茗’,‘するがわせ’,‘みえ緑萌え1号’,‘山の息吹’)については、花粉親はこれまで不明だったが、本研究で花粉親である可能性の高い品種を新規に同定することが出来た。一方、在来種が親品種になったと予想される品種は、供試した系統の中には見当たらなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の拡大の影響で、SSRマーカーによるDNA型分析を実施する九州北部の試料の入手点数が、予想よりも少数となっている。
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今後の研究の推進方策 |
九州北部の追加解析を含め、予定通り研究計画を進める(なお、標本や古木の試料については入手状況に応じて供試点数を調整する)。入手した九州北部の試料については、次世代シーケンサーによる解析手法の種類(RAD-seqやGRAS-Di法など)を検討した上で分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の拡大のため、SSRマーカーによるDNA型分析を実施する九州北部の試料の入手点数が予想よりも少数となり、その影響で消耗品の支出が減少した。令和3年度に追加解析の実施を計画している。
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