| 研究課題/領域番号 |
20K12377
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| 研究機関 | 明治大学 |
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研究代表者 |
石山 徳子 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (70386415)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 先住民研究 / セトラー・コロニアリズム / 都市先住民 / 批判地理学 / 批判的人種研究 |
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| 研究実績の概要 |
2021年度についても、前年度に引き続き、世界的なコロナ禍の最中で北米への出張ができなかった。たとえ米国、カナダに入国できたとしても、隔離期間が設けられていたり、さらには現地で実際にインタビューを行う作業には相当の困難が伴うことが予想されたため出張を断念せざるを得なかったからである。したがって、当初予定していた作業を行うことができず、思うように実績を出すことができない状況がつづいていた。現時点で、プロジェクトの期間延長が実現しない限り、研究対象である公共空間としての図書館のありようについて、実質的な研究実績を出すことは極めて難しい。
極めて困難な状況下にあるなかで、以下の２点の成果をあげることができた。１点目としては、日本国内で、国際郵便やオンライン上で入手可能な先住民研究、批判的地理学研究、批判的人種研究、セトラー・コロニアリズム研究、環境地理学、都市地理学に関する文献を収集し、また読み込む作業を行った。一次資料については、各レベルの政府報告書や新聞記事、雑誌記事をインターネット上での収集を継続的に行なった。
図書館という空間に焦点を当てたテーマで書くには、現場に一切行っていない、当事者とのインタビューをできていない、ということが足枷となり、まだ取り組むことができていない。ただ、先住民研究とセトラー・コロニアリズム論の見地から、環境問題、人新世、進化論に関する論考へのレスポンス、先住民族の人種アイデンティティ、そして都市に生きる先住民族による社会運動にも関連した論考を、それぞれ１本ずつまとめ、海外の地理学ジャーナル、『大原社会問題研究所雑誌』、およびアメリカ研究者たちとの共著の書籍という形で出版を実現した。これらについては、本研究のために収集した資料に依拠し、また思考を深化、発展させることができた。今後、テーマにより直結した具体的な研究成果につなげていきたい。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度についても、世界的なコロナ禍が収まることはなく、北米に赴いた上での現地調査、すなわち大学や公共図書館でのリサーチ、さらには図書館関係者とのインタビューができなかった。オンライン上で話をするにも、実際にお会いしたことがない相手に対して、情報提供をお願いすることは、先方も前例のないコロナ禍で緊迫した状況、そしてさまざまな困難のもとにあるなかでは難しかった。
本研究への協力を約束してくださっている大学図書館司書や、大学教員とは密に連絡を取り合っている。ただ、彼、彼女らとのコミュニケーションを通じて、面識のない現地での関係者に現時点で連絡を取り、具体的な作業を行う段階にはないという判断を下した。人文地理学者として、現地に行けない、という状況は極めて苦しいものであることを改めて実感している。
いっぽうで、理論的な枠組み、さらには歴史的な文脈を辿るための資料を読み込む作業、さらには関連するより大きなテーマでの執筆作業を進めることができており、手応えを感じている。現地調査に先立って行うべき準備は着々と進められている。
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| 今後の研究の推進方策 |
今年度については、先行研究の収集と読み込みの作業を続けると共に、なんとかコロナ禍の状況を見ながら、現地の図書館でのリサーチを行いたい。先住民コミュニティへの訪問は、コロナ禍にあり外部からのアプローチが極めて難しい状況がつづいているが、大学図書館、そして都市の図書館を訪ね、現地調査を開始したい。
アメリカ、そしてカナダでの感染者数はいまだに増え続けている。注意深くしていてもこちらが感染した場合に、日本への帰国ができない、もしくは帰国後の大学での業務に支障をきたす可能性がある。したがって、海外出張に関して、かなりの困難が伴うことが予想されるが、なんとか冬、もしくは来年の春までには実現したい。
いずれにせよ、現地調査の開始さえできていない状況に鑑みるに、来年度以降へのプロジェクト延長を現時点で、強く希望している。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって現地入りがかなわず、したがって海外出張のための経費を一切使用していない。2021年度については、先住民研究、批判地理学、批判的人種研究、セトラー・コロニアリズム論、都市地理学、都市環境学、ジェントリフィケーションなどの分野での二次資料の購入を行なった。今後は、コロナ禍の様子をみながら、現地調査の実現を図っていきたい。
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