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2021 年度 実施状況報告書

港湾観光都市における津波率先避難の意思決定モデル構築とシミュレーション分析

研究課題

研究課題/領域番号 20K12394
研究機関小樽商科大学

研究代表者

深田 秀実  小樽商科大学, 商学部, 教授 (40547866)

研究分担者 橋本 雄一  北海道大学, 文学研究院, 教授 (90250399)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード津波 / 率先避難 / シミュレーション分析
研究実績の概要

日本政府の観光立国政策により,国内外の観光者数は増加傾向にある.一方,近年,地震や台風等による自然災害が連続して発生しており,観光者が被災している.そのため,観光分野においても,防災・減災対策が重要となっている.
そこで,本研究では,北海道を代表する港湾観光都市である小樽市の運河周辺エリアを研究フィールドとして,津波に対する率先避難行動に着目し,地理不案内な観光者の津波避難行動意思決定モデルを構築して,そのモデルをもとに,エージェント・シミュレーション分析を用いて,観光従事者の率先避難行動が,観光者の津波避難行動に対して,どのような影響を及ぼすのか,その効果や課題を明らかにすることを目的とする.
具体的には,観光地の地理を理解している地元店舗の観光従事者が,津波に伴う率先避難を行った場合,地理不案内な観光者の行動に対して,どのような影響を及ぼすのか,その効果や課題をマルチ・エージェント・シミュレーション(Multi-Agent Simulation:以下,MAS)を用いて明らかにしたい.ここで率先避難とは,「津波警報等の危険情報に接したとき,自ら率先して危険を避ける行動を起こすこと.その行動によって,周囲の人にも同様の行動を促し,危険回避行動を起こさせること」と定義する.
令和3年度は,港湾観光地への旅行経験者(N=499:近年大地震が比較的少ない日本海側に居住)を対象に,Web調査を用いて,港湾観光地における津波避難に関する意識調査を行った.その結果,観光中の津波警報発表時において,地元商店の店員や警官等の「声がけ」により避難率が向上する傾向があることが分かった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和3年度は,Web調査による津波避難に関する意識調査を実施した.
函館・鎌倉・長崎などといった港湾観光地への旅行経験者(N=499:近年大地震が比較的少ない日本海側に居住)を対象に,Web調査を用いて,津波避難に関する意識調査を行った.その結果,観光中の津波警報発表時において,「声がけ」により避難率が向上する傾向があることが分かった.すなわち,海が見える観光地に旅行している際,津波警報が発表されたことを見聞きして避難する割合は約46%であるが,地元商店の店員からの声がけで避難すると回答した割合は約60%,警察官や消防団員の声がけで避難すると回答した割合は約64%となった.この結果から,港湾観光地における津波避難の意思決定要因として,「声がけ」が重要な要因となっていることが分かった.
以上の実施状況は,当初の研究実施計画と概ね一致していることから,進捗状況を「おおむね順調に進展している」とした.

今後の研究の推進方策

今後の研究計画としては,コロナ禍による影響のため,令和3年度の研究計画の一部(対面によるヒアリング調査)を令和4年度に行うこととし,この一部変更による影響を最小限にする方策を検討していく.

次年度使用額が生じた理由

令和3年度に実施したWeb調査が予定していた金額より低価格で行うことが出来たため,残額が生じる結果となった.この残額は,令和4年度のマルチエージェント・シミュレーション環境構築費用等とする予定である.

  • 研究成果

    (26件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 津波避難における避難ビル階段上昇シミュレーション2022

    • 著者名/発表者名
      深田 秀実
    • 雑誌名

      月刊 地理 特集「ブラックアウトとホワイトアウト」

      巻: 67(2) ページ: 34-40

  • [雑誌論文] ブラックアウトとホワイトアウト2022

    • 著者名/発表者名
      橋本 雄一
    • 雑誌名

      月刊 地理 特集「ブラックアウトとホワイトアウト」

      巻: 67(2) ページ: 16-26

  • [雑誌論文] マルチ・エージェント・シミュレーションによる津波避難ビルへの避難行動分析 -北海道釧路市中心市街地を事例として-2021

    • 著者名/発表者名
      深田 秀実, 橋本 雄一
    • 雑誌名

      地理学論集

      巻: 96(2) ページ: 7-18

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] デマ情報に対するマイクロブログ利用者の情報行動に関する基礎的分析 -北海道胆振東部地震における大規模停電状況下を事例として-2021

    • 著者名/発表者名
      深田 秀実
    • 雑誌名

      日本危機管理防災学会誌「危機管理防災研究」

      巻: 26 ページ: 141-146

  • [雑誌論文] 北海道太平洋沿岸における津波浸水想定域の空間分析2021

    • 著者名/発表者名
      橋本 雄一
    • 雑誌名

      北海道大学文学研究院紀要

      巻: 165 ページ: 129-166

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] エージェントモデルを用いた津波避難シミュレーション手法の開発 -釧路市における津波避難ビルの垂直避難を対象として-2021

    • 著者名/発表者名
      深田 秀実, 橋本 雄一
    • 雑誌名

      地理情報システム学会講演論文集

      巻: 30 ページ: B30-3-1

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 港湾都市の土地利用の空間パターンの変化と津波災害リスク2021

    • 著者名/発表者名
      川村 壮, 橋本 雄一
    • 雑誌名

      地理情報システム学会講演論文集

      巻: 30 ページ: B30-3-6

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 苫小牧市における保育施設の災害時避難の課題2021

    • 著者名/発表者名
      三井 和, 橋本 雄一
    • 雑誌名

      地理情報システム学会講演論文集

      巻: 30 ページ: B31-2-5

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 観光地におけるVR疑似避難訓練システムを用いた避難行動分析2021

    • 著者名/発表者名
      塩﨑 大輔, 橋本 雄一
    • 雑誌名

      地理情報システム学会講演論文集

      巻: 30 ページ: B31-2-3

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 携帯電話人口統計を用いた災害時における都市内の分布変化関する研究 -平成30年北海道胆振東部地震の事例-2021

    • 著者名/発表者名
      小野塚 仁海, 橋本 雄一
    • 雑誌名

      地理情報システム学会講演論文集

      巻: 30 ページ: B31-2-2

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 北海道日本海沿岸における津波避難の空間分析2021

    • 著者名/発表者名
      工藤 由佳, 橋本 雄一
    • 雑誌名

      地理情報システム学会講演論文集

      巻: 30 ページ: B30-3-4

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 歩行速度に着目した疑似的津波集団避難行動分析2021

    • 著者名/発表者名
      奥野 祐介, 橋本 雄一
    • 雑誌名

      地理情報システム学会講演論文集

      巻: 30 ページ: B30-3-3

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 千島海溝沿い巨大地震による津波避難を科学する2022

    • 著者名/発表者名
      橋本 雄一
    • 学会等名
      地震火山研究観測センターシンポジウム:巨大地震と津波 -千島海溝沿いの巨大地震に備える-
    • 招待講演
  • [学会発表] エージェントモデルを用いた津波避難シミュレーション手法の開発 -釧路市における津波避難ビルの垂直避難を対象として-2021

    • 著者名/発表者名
      深田 秀実, 橋本 雄一
    • 学会等名
      地理情報システム学会 第30回学術研究発表大会
  • [学会発表] 北海道日本海沿岸における津波避難の空間分析2021

    • 著者名/発表者名
      工藤 由佳, 橋本 雄一
    • 学会等名
      地理情報システム学会 第30回学術研究発表大会
  • [学会発表] 歩行速度に着目した疑似的津波集団避難行動分析2021

    • 著者名/発表者名
      奥野 祐介, 橋本 雄一
    • 学会等名
      地理情報システム学会 第30回学術研究発表大会
  • [学会発表] 携帯電話人口統計を用いた災害時における都市内の分布変化関する研究2021

    • 著者名/発表者名
      小野塚 仁海, 橋本 雄一
    • 学会等名
      地理情報システム学会 第30回学術研究発表大会
  • [学会発表] 観光地におけるVR疑似避難訓練システムを用いた避難行動分析2021

    • 著者名/発表者名
      塩﨑 大輔, 橋本 雄一
    • 学会等名
      地理情報システム学会 第30回学術研究発表大会
  • [学会発表] 苫小牧市における保育施設の災害時避難の課題2021

    • 著者名/発表者名
      三井 和, 橋本 雄一
    • 学会等名
      地理情報システム学会 第30回学術研究発表大会
  • [学会発表] 港湾都市の土地利用の空間パターンの変化と津波災害リスク2021

    • 著者名/発表者名
      川村 壮, 橋本 雄一
    • 学会等名
      地理情報システム学会 第30回学術研究発表大会
  • [学会発表] 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震への備えと地理空間情報の活用2021

    • 著者名/発表者名
      橋本 雄一
    • 学会等名
      北海道産学官研究フォーラム 第9回 防災・減災セミナー
  • [学会発表] 防災の授業にGISを利用する2021

    • 著者名/発表者名
      橋本 雄一
    • 学会等名
      北海道地理学会2021年度秋季大会(シンポジウム『高校地理総合におけるGISと防災の取扱いを考える』)
  • [学会発表] 苫小牧市における保育施設の災害時避難の課題2021

    • 著者名/発表者名
      三井 和, 橋本 雄一
    • 学会等名
      北海道地理学会2021年度春季大会
  • [学会発表] 留萌市における複合災害時避難に関する空間分析2021

    • 著者名/発表者名
      工藤 由佳, 橋本 雄一
    • 学会等名
      北海道地理学会2021年度春季大会
  • [図書] 地理空間情報を活かす授業のためのGIS教材 改訂版2021

    • 著者名/発表者名
      地理情報システム学会 教育委員会
    • 総ページ数
      110
    • 出版者
      古今書院
    • ISBN
      9784772253413
  • [備考] 国立大学法人 北海道国立大学機構 小樽商科大学 研究者総覧

    • URL

      http://researcher.ih.otaru-uc.ac.jp/profile/ja.f14806ddcc375ecd.html

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公開日: 2022-12-28  

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