研究課題/領域番号 |
20K12395
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
金沢 文緒 岩手大学, 教育学部, 准教授 (80606997)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | グランド・ツアー / 風景画 / 景観画 / 観光 / 旅行者 / 土産 |
研究実績の概要 |
18世紀ヨーロッパでは、イタリアへのグランド・ツアーの流行に伴って、17世紀の理想風景画家クロード・ロランやニコラ・プッサンの熱狂的なリヴァイヴァル・ブームが起こった。本研究は、当時旅行者の共有されていた旅行先での「風景画家体験」、すなわち旅行者=アマチュアによる風景画制作という行為に注目し、旅行者によって選択された能動的娯楽という観点から18世紀ヨーロッパのツーリズムに位置づけ、その実態および社会的背景を明らかにすることを目的とする。そして、風景画の「鑑賞」から「制作」に至る旅行者の精神的プロセスの解明を通じて、近代ツーリズムにおける旅行者の能動的体験の成立と発展の過程に新知見をもたらすことを目指す。 初年度は、旅行者=素人風景画家の風景画制作の実態調査を行う予定としていた。18世紀の様々な一次資料(視覚資料/文字資料)から、旅行者の風景が制作が実際にどのように実施されていたのか、具体的な情報を収集し特定することを目指していたが、海外での実地調査がコロナ禍で叶わなかったため、調査が限定的になった。そうしたなかで、アマチュアの風景画家体験としての旅行の重要な携行品の一つとなったであろうカメラ・オブスクーラに注目し、その利用の実態について比重を置きながら考察した。また、旅行者が専門の画家の制作した景観画を鑑賞し、あるいは土産品としての作品を購入するという旅行中の娯楽について分析を行った。その成果は本年度と次年度に発表の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナの影響により、初年度の海外での実地調査(作品実見調査、文書調査)が叶わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナの影響により、初年度に引き続き次年度も海外での調査ができない可能性が高いため、研究の期間延長を見据え、調整を行うことを想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は調査の基盤として予定していた複数回の海外調査がコロナ禍のため実施できなかったため、予算使用の予定が変更となってしまった。次年度の渡航(および国内移動)も困難の可能性があるので、書籍の取り寄せ等、可能な限りの予算をそうした書物の購入費などに充てて調査を進めたい。
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