研究課題/領域番号 |
20K12396
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
CHOI SUNKYUNG 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 特任講師 (40814116)
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研究分担者 |
ヘンリー マイケル・ワード 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (80586371)
花岡 伸也 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (90467027)
MAHARJAN RAJALI 一般財団法人運輸総合研究所(学術研究チーム), その他部局等, 研究員 (00905309)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 観光危機管理 / ソーシャルネットワーク分析 / 感情分析 / エージェントベースモデリング / 避難計画 |
研究実績の概要 |
本研究は、訪日外国人の災害情報収集行動について、首都圏に大きな被害をもたらした2019年の台風15号と19号を対象に、交通・観光情報提供側の情報提供と外国人観光客の情報収集行動を分析するため、Twitterデータを用いてテキストマイニング手法のトピックモデルと感情分析(Sentiment Analysis)を実施した。情報提供側であるJapan Safe Travel、JR東日本、NHK World、成田空港、JAL、ANAなどのアカウントをトピックモデルで分析したところ、フライトキャンセル情報が全体の37.2%、ホテルでの待機情報が20.4%、電車運行情報が12.5%、空港孤立に関する情報が12.3%となった。一方で、外国人観光客のアカウント分析では、フライトキャンセル情報が29.5%、空港孤立に関する情報が21.3%、電車運行情報が17.6%であった。また、感情分析により、台風15号と19号における外国人観光客の交通・観光における感情の時系列変化を計測した。本研究では、-1から-0.05までをネガティブ、-0.05から0.05までをニュートラル、0.05から1までをポジティブとして分類した。台風15号では、上陸二日後にはポジティブからネガティブになった。台風19号では、バスとタクシーにおいて上陸翌日は-0.0542、翌々日には-0.5679となり、急激にネガティブに変化した。鉄道はしばらくの間ネガティブな感情が続いた。 避難行動と避難所計画について、エージェントベースモデリング(Agent Based Modeling)のシミュレーションにより、外国人観光客と日本人の情報取得レベルにおける避難行動の差異を分析した。大阪市港区をケーススタディーとして、避難時における情報提供の有無、また外国人観光客の災害サポート可能な避難所の有無などをシナリオとして考慮し、分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の2年目の計画では、災害情報収集行動の分析が主な目的であった。外国人観光客の情報収集行動だけではなく、合わせて災害時に交通・観光関連機関がどのような情報を提供しているのか確認した。また、避難行動と避難所計画の分析のために、エージェントベースモデリングのシミュレーションを進めている。小規模な地域でシミュレーションを行いながら、シミュレーションに必要なデータを収集し、モデルのフィージビリティを確認している。
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今後の研究の推進方策 |
災害情報収集行動の分析については、台風15号と19号のTwitterデータに基づき日本人を対象とした内容分析と感情分析を進め、外国人観光客との差異を確認する。また、成田空港で活用されているAIチャットボットのデータを活用し、多様なデータを用いた分析を行う。 避難行動と避難所計画に関しては、現在外国人観光客と日本人の避難行動について分析を進めているが、日本人をさらに日本人の居住者と日本人の観光客に分けて分析を進めそれぞれのグループにおける避難所要時間を確認する。また、現段階ではケーススタディーをスモールスケールでシミュレーションを行っているが、全スケールでモデルの結果を明らかにする。そして、現在の避難所配置に加え新しい避難所の増設が外国人観光客と日本人の避難所要時間にどのような影響があるかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の今年度の計画では外国人観光客を対象とする現地調査を行う予定があったが、コロナ禍のため実施できなかった。また、国際学会がオンライン形式の開催となり、旅費を使用しなかった。以上のように、コロナ禍で、国内出張及び海外出張をする機会がなかったことから、次年度使用額が生じた。次年度ではシミュレーションモデルのケーススタディーである大阪市港区における避難所と避難誘導案内・標識について現地調査を行う予定である。また、国際学会(TTRA International Conference)に参加する予定である。
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