研究課題/領域番号 |
20K12397
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山田 菜緒子 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (80818097)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インタープリテーション / ツアーガイド / ガイディング / 展示 / コミュニケーション / トレーニング |
研究実績の概要 |
計画していたトレーニング検証調査はコロナ禍により対面環境が成り立たずトレーニングを実施できず、海外事例の調査も渡航制限のために実施できなかった。それに対応して、主に次の3つに焦点を当てて活動した。(1)トレーニング内容の検討およびオンライントレーニングの可能性と方法について検討した。(2)インタープリテーションの活用分野を把握するために、博物館、動物園の展示内容および展示方法を調べた。(3)ツアーガイドへのインタビューを実施した。 (1)では、インタープリテーションの実務家および専門家と通年で複数回オンラインでミーティングを繰り返し、トレーニング全般について知見を得た。また対面でのトレーニング検討ワークショップに参加し、トレーニングの項目・内容を議論し実務家の視点を得た。これらを通して、トレーニングの指標を検討した。この過程で得た知見、理解をもとにして、次年度のトレーニング調査をおこなう。 (2)では、文化、自然、科学などについて来訪者へのコミュニケーション内容および方法を観察調査した。展示対象物に付記されているサインに焦点を当て、サインに記述されている内容とデザインを調査した。これらから、どのような概念を、どのような表現・言葉を用いてコミュニケーションしようとしているのかを分析し、共通項と改善領域を見出す(分析中)。分析結果から、施設区分(博物館、科学館、動物園)のコミュニケーションの傾向を理解できるだろう。そうすることで、異なる状況や環境で求められるインタープリテーション手法と内容を把握できるだろう。 (3)では、オンラインツアーを実施しているツアーガイドにインタビューをおこない、対面ツアーとオンラインツアーとの違いやコミュニケーション手法についてガイドの視点で意見を得た。この結果から、ガイドが重視する手法や能力、分野と求めるそれらを把握できるだろう(分析中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍により対面のトレーニングが中止となったため、実際にはトレーニング調査は実施できていない。オンラインでのトレーニングを想定した研究内容に変更する必要がある。また、海外渡航が制限されているため、予定している海外事例の調査(体験、視察)が実施できていない。2022年の海外調査を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、(1)トレーニング内容の検討およびオンライントレーニングの可能性と方法について調べるため、実際の参加者の認識データを収集する。また、トレーナーからもトレーニングに関する認識データを収集する。(2)インタープリテーションの活用分野を把握するために、科学館、博物館、水族館、動物園の展示内容および展示方法を調べる。サインおよび対面(ガイド・キュレータ)でのコミュニケーション手法と内容を把握する。(3)ツアーガイドへのインタビューを実施する。ガイドの現状およびニーズを調べ、求める能力を明らかにする。 また、(4)海外渡航制限がなくなれば、海外事例調査を実施する。National Association for Interpretationが開催するトレーニングを複数種類受講し、大会に参加することで、主にアメリカで求められているインタープリテーションの技能について把握する。NAIのトレーニング資料も分析する。 加えて、(5)資料調査および文献調査により国内外のツアーガイド能力育成の指標を把握する。これには、さまざまな施設や組織におけるガイド(コミュニケーター)の技能が含まれる。このようにして、ツアーガイドに求められる能力の指標を国内外事例から明らかにしていく。 これらの結果を踏まえて、ツアーガイド(さまざまな施設や組織におけるコミュニケーター)のインタープリテーションに関する能力の指標項目を把握する。結果は随時国内外の大会や論文にて発表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により計画した調査活動を実施できなかったため次年度使用額が生じた。 今年度は、社会環境の変更に合わせてオンラインや新しいツアーガイド形式も含めて調査活動内容を変更する。特に、オンラインも活用したトレーニングおよびノンパーソナルガイド(展示、サイン、印刷物など)の調査に旅費・調査実費、講師謝金として使用する。また、海外でのガイドトレーニングについては入国・渡航制限がなくなれば現地にて参加し調査する。渡航制限により海外現地調査ができない場合には、オンライントレーニングに参加する予定である。これらの成果を学会・学術誌にて発表する。 新しい社会環境と要請(需要)に対応するため、調査分野を広げて、観光ガイド、公園、動植物園、水族館、博物館、科学館などのコミュニケーターの人材育成について調査する予定である。対面ガイド、オンラインガイド、ノンパーソナルガイド、バーチャルガイドなどを対象とし、その人材育成について調査する。
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