研究課題/領域番号 |
20K12402
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
ラナウィーラゲ エランガー 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 客員研究員 (90735789)
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研究分担者 |
菊地 俊夫 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 客員教授 (50169827)
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研究期間 (年度) |
2021-02-01 – 2024-03-31
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キーワード | ワイルドライフツーリズム / 野生動物 / 人間社会 / 共生システム / コアラ / ドックアタック / リハビリテーションセンター / GIS地図化 |
研究実績の概要 |
野生動物と人間社会との共生関係を明らかにするため、オーストラリアのブリスベン地域においてコアラと人間社会に関する調査を行った。具体的には、Department of Environment and ScienceのMoggill Koala Rehabilitation Centre において、コアラの疾病や事故の状況や、それらに伴うリハビリテーションの様相について聞き取り調査と資料の収集を行った。今回の調査では、コアラは人間の生活圏との近接が増えるにつれて、ストレスにともなう疾病や交通事故および飼い犬によるけがが多くなり、それらの障害からのリハビリテーションにより自然界に戻すケースが多くなっていることがわかった。その一方で、障害の回復が見込めないことや、自然界の恐怖心から自然界に戻ることのできないコアラも少なくないことがわかった。また、リハビリテーションセンターに保護されず死んでいくコアラも多いことが判明した。したがって、疾病や事故による死亡場所の、あるいはそれらの障害によって保護された場所のデータをリハビリテーションセンターから入手し、それらのGISデータの地図化を試みた。その結果、コアラの死亡原因のベスト3は交通事故、飼い犬の噛みつき、ストレスによる便秘であり、それらが原因となる死亡場所はユーカリの森ではなく、都市近郊の住宅地区であった。このような分布パターンの結果から、都市近郊の住宅地がつい最近までユーカリの森であり、コアラの棲息地であったことや、コアラが住宅地の開発で少なくなったユーカリの森林空間を求めて夜間に地上を移動していることなどが理解できる。実際、コアラの交通事故のほとんどが、夜間の移動中に発生し、その近くには小規模なユーカリの森が分散的に存在している。今年度の調査では、人間社会がコアラの棲息に影響を及ぼしている実態を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野生動物と人間社会との関係性に関する実態調査は国の内外で行われ、研究は概ね順調に進んでいる。コロナの影響も少なくなり、調査や研究成果の発表も順調に行われるようになってきている。
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今後の研究の推進方策 |
今年までの国内外の実態調査を踏まえて、野生動物と人間社会との共生システムに関する検討をワイルドツーリズムのフレームワークを用いて行い、その成果を国際学会などで報告し内外の研究者との議論を深めて、共生システムの精緻化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に研究成果を発表する予定であった国際学会が延期されたことが、次年度に使用額が生じた理由である。次年度には、延期された国際学会が開催されることになり、研究成果の発表を行うとともに、それに付随した外国での調査も実施する予定である。
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