研究課題/領域番号 |
20K12407
|
研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
須永 和博 獨協大学, 外国語学部, 教授 (70550002)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ジェントリフィケーション / 創造都市 / プーケット / プラナカン |
研究実績の概要 |
本研究は、東南アジア(特にタイ)の地方都市・旧市街の観光化に伴う都市再編のありようを、創造都市論などの枠組みに依拠しつつ、民族誌的アプローチによって明らかにすることを目指すものである。 2020年度は、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、現地調査が実施できなかったこともあり、過去に行ったタイ・プーケット旧市街での予備的調査のデータを、ツーリズム・ジェントリフィケーション(Gotham, 2005)をめぐる観光社会学や地理学などの諸議論と関連づけて考察を行い、次年度以降に実施予定のフィールドワークに向けた課題設定を行った。 従来、ジェントリフィケーションをめぐっては、外部資本の流入に伴う地域住民の周辺化や排除といった問題が焦点になってきた。それに対して本研究では、地域住民が主体的に都市再編の過程に関わり、自らの生活の向上を目指して試行錯誤していくある種のエージェンシーに焦点を当て、それをセルフ・ジェントリフィケーション(Herzfeld, 2017)という視点から考察を行った。 また、プーケット旧市街は、歴史的にマレー半島の旧海峡植民地(特にペナン)と深い関わりをもち、いわゆる「プラナカン文化」と総称される海峡植民地由来の文化が根付いた場所である。それゆえ、本研究ではペナンをはじめとする、マレー半島都市部を取り巻く現状などについても文献資料収集を行い、プーケットと比較検討するなどの作業も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度実施予定だったタイでの現地調査は、新型コロナウィルス感染症の拡大により、実施ができなかった。SNSなどを通じた、「オンライン・フィールドワーク」を適宜実施したものの、十分なデータが得られているとは言いがたい。
|
今後の研究の推進方策 |
観光化に伴う都市再編のありようを考察する際、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う現在の状況について明らかにすることは、必要不可欠な課題となった。特に、本研究の主たる調査対象地の1つである、プーケット旧市街の現況を把握することは早急の課題といえる。そこで、タイへの渡航が困難な時期については、予備的調査を通じて一定の関係が構築できている複数のインフォーマントに対して、引き続きSNSやICTを活用した「オンライン・フィールドワーク」を継続していきたい。 その上で、タイへの渡航が可能になり次第、プーケット旧市街をはじめ、複数の都市で順次現地調査を実施したいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度予定していたタイでの現地調査が、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う渡航制限により実施できなくなったため。2021年度以降、海外渡航が可能になり次第、現地調査を実施する予定である。
|