研究課題/領域番号 |
20K12407
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
須永 和博 獨協大学, 外国語学部, 教授 (70550002)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 創造都市 / タイ南部 / 旧市街 / 文化遺産 |
研究実績の概要 |
近年タイ国では、空洞化が進んでいた地方都市の一部が「旧市街」として再発見され、ヘリテージ・ツーリズムの対象となっている。こうした新たに「ヘリテージ」として再発見された旧市街では、アートやデザインを活用しながら地域の文化遺産や記憶を再生していくような、創造的なまちづくりも行われている。本研究では、交易拠点としてコスモポリタンな都市空間が形成されていたタイ南部の旧市街を事例に、創造都市化に伴うコミュニティの変容を文化人類学的視点から明らかにすることを目指してきた。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響で、2020年度と2021年度に現地調査を実施することが叶わなかったため、十分な情報収集が出来ているとは言い難い。
そのため、まずは過去にプーケット旧市街で実施したフィールドワークで得られたデータに、2020年度以降断続的に行なってきたオンライン・フィールドワークや各種SNS等の分析を適宜加えることで、その現状を考察することを試みた。その成果は、14th International Conference on Thai Studies(2022年4月29日~5月1日)にて、'Creative Turn' in Thai Tourism: A Case Study of the Old Town of Phuketというタイトルにて発表を行なっている。
その後、渡航制限が緩和されたことで、現地でのフィールドワークを再開することができたが、情報収集・整理には相応の時間を要するため、今年度中にその成果を発表するには至っていないない。補助事業期間延長により、2023年度も引き続き調査・研究活動を継続することが可能になったため、同年度中にまとまった研究成果を発表したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症により、2020年度および2021年度に現地でのフィールドワークを実施することができなかったため、当初の予定よりも進捗が遅れている。しかし、2022年度に入って、渡航制限が緩和されたことで、フィールドワークを再開することができた。具体的には、これまでフィールドワークを継続してきたプーケット旧市街に加え、パンガー県タクアパー旧市街、トラン県ガンタン旧市街、ソンクラー県ソンクラー旧市街など、タイ南部にて広域調査を実施した。また、タイ国内で創造都市化を進めるCreative Economy Agencyなどの国家機関でも情報収集を行なった。
以上、これまでの研究進捗の遅れを取り戻しつつあるが、十分な資料収集ができているとは言いがたく、2023年度も引き続き現地調査を継続していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に実施したタイ南部の広域調査の成果を踏まえ、2023年度はソンクラー県ソンクラー旧市街にて集約的なフィールドワークの実施を検討している。同地域では、現在世界遺産登録申請へ向けた準備が進められ、国家機関、行政、大学、アーティスト、地域住民など様々なステークホルダーが協働で地域づくりや文化遺産保全に向けた取り組みを行なっている。それゆえ、ソンクラー旧市街は、タイの創造都市化を考察する際に興味深い事例といえ、本研究の主たるフィールドとして集中的に現地調査を行なっていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナイウイルス感染症に伴う渡航制限のため、2020年度および2021年度にタイ国での現地調査を実施することができず、研究全般に遅れが生じていることが主たる理由である。2022年度に入って渡航制限が緩和され、現地調査を再開できたものの、十分な情報収集・整理が出来ているとは言いがたく、2023年度も引き続き現地調査を実施していく予定である。
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