研究課題/領域番号 |
20K12408
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
狩野 朋子 帝京平成大学, 人文社会学部, 准教授 (40552021)
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研究分担者 |
郷田 桃代 東京理科大学, 工学部建築学科, 教授 (50242128)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | トルコ・ベルガマ / 防災計画 / 公共空間 / ヒアリング調査 / コミュニティ活動 / 住民 / レジリエンス |
研究実績の概要 |
2022年度は、トルコ・ベルガマの世界遺産エリアの住民を対象とした、大型ヒアリング調査を市役所ならびに現地協力者の全面的な協力下で実施することができた。また2022年8月には、代表者と分担者(大学院生含む)がトルコ・ベルガマに渡航し、ヒアリング調査の補完調査を行い、調査未着手エリアの住居を訪問して住民への直接的なヒアリング調査と対話を行い、住居の実測調査も実施することができた。これらを通して、現地の公共空間における防災上の課題を明らかにするための、基礎データを入手することができた。特に、住民たちが日常的に抱えているリスクに対する認識や避難行動について情報を集められた点は、大きな成果である。渡航時には、市役所を訪問し、市長をはじめ関係諸機関と本研究内容について情報共有を行い、ベルガマの現状と今後の課題についても情報提供をしていただき、次回訪問時には、研究結果を報告することとなった。 しかしながら、2023年2月に、トルコ大地震が発生したために、予定していた3月の訪問を延期し、現地の研究協力者とオンラインでヒアリング調査に基づく分析結果の報告会を実施した。ここでは、主にベルガマにおける防災に役立つ公共空間や住民のリスク認識などについて議論を展開することができた。さらに、トルコ地震を経験して浮上してきた地震直後の防災組織やコミュニティ活動の問題、防災施設等の課題について、本研究にかかわる有益な情報を共有をしていただくことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トルコの世界遺産ベルガマにおいて、住民を対象とした大型ヒアリング調査を完了し、これらの基礎データを取りまとめて分析し、調査結果を報告(現地協力者へのオンラインミーティングによる報告、論文執筆による学会報告など)することができた。 さらに、研究協力者である現地の専門家から、2023年2月のトルコ地震を経験して浮上してきたトルコの歴史都市における課題を、共有していただくことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、ベルガマ市長や関係諸機関、住民(ムフタル、観光業従事者、教育関係者など)を参集して、報告会を現地で実施予定である。本報告会では、行政が認識している公共空間における防災上の課題と、市民が抱えている課題についてのギャップを埋めていく。 さらに、トルコ地震で被災した歴史都市に関する情報収集を継続的に行いながら、研究成果を現地社会に還元していくとともに、トルコにおける災害に強い地域社会の構築を、歴史都市の公共空間をモデルとしてとりまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍に加え、2023年2月のトルコ地震の影響を受け、当初予定していた現地訪問を2023年度に延期した。2023年度は、夏に現地ベルガマを訪問して、行政、関係諸機関、住民を対象とした報告会を実施予定である。また研究成果は国内外の学会のみならず、世界遺産に関わる専門家会議等にも広く発表していく。
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