研究課題/領域番号 |
20K12417
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
有田 理佳 (山本理佳) 立命館大学, 文学部, 教授 (70708073)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ガイドツアー / リズム分析 / 文化遺産研究 / 近代産業遺産 / 産業観光 / 観光空間と産業 |
研究実績の概要 |
2022年度は引き続き、文化遺産全般に関する理論研究および全国的な産業遺産活用実態の視察・ヒアリング調査を行った。文化遺産全般に関する理論研究においては、まず英語圏の社会科学理論を多く取り入れた文化遺産研究の学術書を、他領域にまたがる研究者5名で行い、ミネルヴァ書房より刊行した。また、とくにCOVID-19の影響が長引く中、人々の日常/観光行動における身体性の問題が空間論とも結びつきつつクローズアップされている世界的な研究現状に鑑み、観光における身体的動きと空間論を結びつける理論的考察を深め、7月の観光学術学会第11回大会で発表し、3月刊行の同学会学術誌にも同内容の論稿が掲載された。また、現在の産業実態とその観光化が地域内空間に与える影響について、「観光空間」を分析枠組みとしてとらえることも試みつつ、今後の産業遺産をめぐるガイドツアー研究の分析軸について検討した。この成果は人文地理学会観光空間研究部会で6月に開催された第1回研究部会で発表を行い、様々な方向からの議論・視点が得られた。 また、全国的な産業遺産活用実態調査では、いまだCOVID-19の影響でアテンド調査などの参与観察がなかなか難しかったことから、さらに瀬戸内の島嶼地域(直島、豊島、犬島、大久野島)や中国(宇部市)・四国地方(今治市)、そして鉱工業地域のみならず伝統的軽工業地域である奄美大島において、産業遺産活用や産業観光も含めた実態調査を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度もツアー実施の制限や調査協力の困難の問題が続いた。とくにガイドツアーは各地域のガイド者がいずれも大半が高齢であり、またツアー参加者も基本少数参加で実施されている状況にあり、密着したツアーへの参与観察は社会倫理的に遠慮すべきところでもあった。そのため、23年度まで延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
2021・2022年度に複数箇所で実施した実態調査をもとに、5月にCOVID-19が感染症分類5類に引き下げられることを受け、2023年度のツアー実施状況を鑑みつつ、調査地域を決定する。また、2022年度中に行った理論的検討をまとめ、その研究分析枠組みと方法を再検討し、アンケート・インタビュー・参与観察に関する設計を行い、複数地域で夏季・秋季・春季に実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた現地での本格的調査実施が困難であったため、理論研究やオンラインでの調査や情報収集を行った。そのため、調査に使用する予定であった旅費・調査謝金等の支出が生じなかった。2023年度においては、主に夏季・秋季に北海道・九州地区で集中して本格調査を実施し、本来の予算執行を行う予定である。
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