研究課題/領域番号 |
20K12424
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
田中 敦 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60788793)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ワーケーション / サテライトオフィス / テレワーク / 働き方改革 / 関係人口 / フレックスプレイス / 隠れワーケーター / イノベーション |
研究実績の概要 |
ワ―ケーションは2020年7月以降急速に認知度が高まったが、その実態や効果に対する情報が少ないため実際に制度を導入する企業が少ないなど、普及が進んていなかった。今年度の研究では、実際にワーケーションを実施した経験1000名と、ワ―ケーション経験はなくテレワークを経験者300名、テレワーク未経験者300名を対象とした定量調査を行い、3者の比較を行うことで、ワーケーションを積極的に実施する人材の特性(高いエンゲージメント、越境学習性志向、イノベーター志向、地域貢献志向等)を定量的に明らかにるすことができた。この結果は日本テレワーク学会で発表した他、観光庁の専門委員会(「新たな旅のスタイル」検討委員会)でも発表され、多数のメディアでも取り上げられた。 また、長野県、和歌山県、鳥取県等のワーケーション先進地でのヒアリング調査や実際に運営しているプログラムに一部参加し参与観察を行うことで得た知見や事例を活かし、山梨県の観光やワーケーション推進委員会への具体的な政策提言を行うとともに、二拠点居住、二拠点経営等の啓蒙、促進に向けた新たなコンセプトの構想に寄与した。 こうした新たなワーケーションスタイルの知見は論文に取りまとめ労務学会、地域活性学会等の学会に投稿、報告するとともに、地域の金融機関、事業者へのセミナー実施や支援を行い、山梨県や地域関連事業者に向けた情報提供やフィードバックを行うことでコロナ禍後を見据えた新たな需要創造により観光の底上げと地域振興につながっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
定量調査については計画通り順調の進めているが、新型コロナウイルスの影響で国内でのワーケーション実施者が平時と比較しやや特殊な状況下ではなかったことから、ある程度コロナが収束した状況での調査がまだ実施てきておらず、さらに継続した調査が必要となる。 また、今後、訪日観光客需要が戻った場合を想定した海外におえる先進地やグローバルデジタルノマドの特性についても、当初、現地に出向き直接インタビュー調査を行う他、ワ―ケーション関連施設等の視察、来訪者からのヒアリングを行う計画であったが、コロナ感染症予防の影響で訪問を断念せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
R4年度は昨年度実現が難しかった海外におけるワーケーション先進受入地に対するヒアリング調査について、当初計画していた現地に出向いてのインタビュー調査や関連施設等の視察、ワーケーション実施者へのインタビュー調査を行い、日本における需要創造に寄与していきたい。また、より通常に近い環境の定量調査を行い、2年間の経年的な変化について明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により海外や国内での現地での実施調査の多くが実施できなかったため。
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備考 |
山梨大学生命環境学部地域社会システム学科の田中敦教授・西久保浩二教授の研究グループは、クロス・マーケティング社と共同で76,834人に対し「ワーケーション」「テレワーク」それぞれの実施状況を聴取した。そのうち「直近1年間にワーケーションを実施した」1,000人を対象に「ワーケーションに関する調査」を実施。働く場所の自由度を高めたライフスタイルの分析や、受入れ地域に与える影響等研究を進める予定。
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