研究課題/領域番号 |
20K12424
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
田中 敦 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60788793)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | デジタルノマド / ワーケーション / 働き方改革 / 関係人口 / 越境学習 / リモートワーク |
研究実績の概要 |
ワーケーションという概念は過去3年間で広く認識されるようになり、その実施に対する個人的な意向が高まっている。また、企業におけるワーケーション制度の導入や実施を認める動きも見られる。しかし、コロナウイルスの影響を無視することはできず、感染拡大の周期性が個人や企業がワーケーションを積極的に実施する環境を妨げる状況が続いてしまっている。 本研究の目的は、ワーケーションの実施がその従業員、そして受け入れる地域に及ぼす様々な効果や影響について実証研究を通じて明らかにし、その知見をもとに、より良い実施方法を提示することである。今年度については、コロナの影響を依然として排除できる状況ではなかったが、2021年に実施した定量調査の分析を深め、「ワーケーションなる働き方の可能性」(日本労務学会第52回全国大会研究報告論集)に関する従業員への効果や課題についての実証的な分析の成果を学会に発表を行った。 さらに、富士吉田市のコワーキングスペースの利用者属性や利用状況についての調査、ワーケーション自治体協議会・日本観光振興協会の自治体での関連施策の実施状況や今後の推進意向に関する調査分析を行うことで、一定の成果を示せた。第84回全国都市問題会議(全国市長会)や、 第10回日本テレワーク協会トップフォーラム での特別講演を行う機会を得るなど、研究の成果を広めることができた。 年度末には、デジタルノマドというグローバルなワーケーションの動向や、その受け入れ体制についての知見を得るために、台湾およびバリ島での現地調査を実施することができた。この調査により得た情報は、コロナ禍を経て考えられる国内ワーケーション施策の検討において、地域でのインバウンドワーケーションの受け入れ推進に極めて有用である。今後も、この調査と分析を継続し、得た知見を広く発表していくことを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本労務学会での発表や、富士吉田市での実地調査、ワーケーション自治体協議会・日本観光振興協会の調査分析などで一定の成果を示すことができたが、調査対象となるワーケーションの実施者や施策を行う自治体などにおいて、新型コロナウイルスの影響で国内でのワーケーションを自由にできる状況にはほど遠く、コロナが収束した状況「平時」における行動特性や自治体行政についての調査がまだ十分に実施できていない。 また、国内外での先進的な地域への訪問によるヒアリング調査や、訪日観光客需要が戻った際を想定した先進地の受け入れ体制やグローバルデジタルノマドの特性についても、コロナ禍の影響で年末まで実施を断念せざえるを得ない状況で、現地において十分な知見を収集することができておらず、継続して研究を重ねる必要性を感じている。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度は海外におけるワーケーション先進受入地に対するヒアリング調査や、近年注目を集める、ワーケーションを通じたスタートアップ支援の実態などに、国内との比較をしながら明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
R4年ははコロナ禍の影響で先進地の調査が難しかったが、5類に変更され収束してきたため、R5年度は海外を中心に先進的地域への訪問調査の旅費に充てていく。
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